法金剛院は平安時代(1130年)に待賢門院(たいけんもんいん)の住居として創建。浄土式庭園もこの時代に造られ、1970年の発掘調査で日本最古の人工滝(滝石組)が見つかることで、翌年、特別名勝の指定を受ける。
蓮の寺とも呼ばれる法金剛院は、7月初めから8月上旬は多くの観光客で賑わいを見せる。池泉には世界から集めた蓮が咲き乱れるために、中島の様子は分からなくなる。数少ない浄土式庭園を楽しむのであれば、蓮の時期を避けたい。
苑路沿いには、池泉の水を美しく魅せる技法である洲浜(すはま)がみられる。洲浜から先にみえるのが中島である。
洲浜を別角度から眺める。大きさの整った玉石を選別し敷いていくことで、このような美しさが生まれる。
苑路から橋で2つの中島に繋がる。案内図には鶴島のみの表記だが、それぞれ鶴島と亀島だろう。こちらが亀島と推測。少ない護岸石組で、大半が木材のような素材で中島を保護している。あまり見たことがない手法で興味深い。
亀島の先には鶴島と推測される中島がある。
鶴島を鶴頭方面から眺める。
そして、特別名勝に指定された青女の滝(せいじょのたき)。本庭園で平安時代からそのままの姿で残る貴重な石組だ。平安時代の滝石組は、池から離れた場所にあり、そこから流れや遣水で池泉に注ぐように造られている。つまり観賞用の滝ではなかった。青女の滝も池泉から離れた場所にあり、遣水で池泉に注がれているので見逃さないようにしたい。なお、案内図には水が流れる様子が描かれ、また水が流れている写真もネットで見かけたたため、枯滝石組ではなく滝石組である。滝石組からは遣水が蛇行しつつ池泉へと流れ込む。
仁和寺の僧侶・静意(じょうい)と、伊勢公林賢(いせのこうりんけん)によって造られた「青女の滝」は、巨石を並べた雄大なもので、日本最古の人工滝(滝石組)とされる。
礼堂の東北部には苔庭があり、
こちらにも遣水の遺構がみれらる。
私が訪れた年末には誰もいない静かな庭園。蓮の時期にはまったく違った光景が楽しめるが、やはり私には蓮がないシーズンのほうが好きだ。
法金剛院案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 平安時代の浄土式庭園がいまも残る庭園。蓮のシーズンを外して池泉を周りをゆっくり散策したい。 |
× | 借景にアパートが見えたり、丸太町通りを往来する車が見え隠れしてしまう。 |