大法院は初代 信濃松代藩主・真田信之の菩提寺として江戸初期に創建された臨済宗妙心寺派の塔頭寺院。露地は江戸時代に作庭されたもので、4月からGWと紅葉シーズンのみ特別公開される。
妙心寺の境内には期間限定で特別公開される寺院がいくつかあり、大法院は春と秋のみ特別公開される。朝イチで訪問して参拝客が少なくなったタイミングを見計らい額縁庭園を撮影。本庭園は客殿から露地を観賞でき、京都でも露地のみを観賞できる寺院では同じく妙心寺境内にある桂春院ぐらいだろう。ちなみに露地とは茶室に付随した庭園であり、飛石や延段を伝って茶室に向かいながら眺める庭園である。
大法院では外露地、中露地、内露地の三重露地となっている。茶ノ道とらのまきによると三重露地は表千家、藪内家でみられるとのこと。まずは客殿西側にある外露地から観賞していくと、飛石から沓脱石へ導かれ客殿へと繋がっている。
露地は廻遊できないため腰掛待合などが観賞できず、露地の構造が分かりにくいのがいささか残念。
右手が外露地、左手となる客殿南庭が中露地となる。
客殿と中露地を撮影。腰掛待合の右手に外露地からの中露地へ繋がる露地門が見える。
ズームレンズで腰掛待合を撮影。腰掛待合とは茶会に招かれた客人が主人を待つスペースであり、これまで眺めてきた腰掛待合のなかでも豪華で風合いのあるものだ。
中露地と内露地を撮影する。分かりやすいように図解してみた。中露地と内露地の境界は赤線を引いた。
茶室「有隣軒」は比較的近代的な作りをしている。
茶室「有隣軒」は孔子の論語に由来している。
茶室に入室はできないが、入口付近から内部を見学できる。茶室にガラス障子が使われているのは珍しい。
内露地の蹲踞(つくばい)
最後に額縁庭園を撮影。妙心寺境内は広く、大法院へ向かうまでの参道も趣深くいいものである。また広い無料駐車場を完備しているのも有り難いところだ。
○ | 紅葉の美しさに目を奪われがちあるが、三重露地を拝見できる貴重な寺院である。特に中露地の腰掛待合は風合いが良い。 |
× | 露地を廻遊できないため、特に外露地の詳細が分かりにくい。一方、苑路を開放することで客殿からの眺めに影響を及ぼすので、現状が最適解だろう。 |