臨済宗妙心寺派の桂春院は、安土桃山時代末期(1598年)に創建。千利休の子である茶人・宗旦(そうたん)の門弟の四天王のひとりである藤村庸軒の茶室「既白庵(きはくあん)/非公開」がある。
千利休の流れをもつ茶室「既白庵」のある桂春院。茶室は非公開であるが、境内ある4つの庭園「清浄の庭」「侘の庭」「思惟の庭(しいのにわ)」、「真如の庭(しんにょのにわ)」を楽しめる。まずは写真の「清浄の庭」から。大徳寺大仙院(京都)のような花頭窓(かとうまど)を跨った庭園である。
川の上流は、井筒の傍に力強い立石にて枯滝石組が組まれ、白砂の渓流に流れ込む様子を見立てている。
花頭窓(かとうまど)の下には、紀州の青石で枯流れが造られて、注視されないような場所も見事な意匠となっている。
こちらが反対側からの写真で、書院正面にある「侘の庭」へと繋がる。
書院前庭「侘の庭」を額縁庭園で撮影。写真中央にみえる露地門「梅軒門」の先は、3つめの庭「思惟の庭」へと繋がる。
露地には三尊石風に組まれた趣ある石がみられる。
生け垣で囲まれた小さな露地であるが、落ち着いた空間である。紅葉時期でも混雑を避けられるような寺院だろう。
左手にみえる「梅軒門」から「侘の庭」へ「思惟の庭」と繋がる。「思惟の庭」は飛石が途中で分岐しており、この分岐点にある飛石は一般的に「踏分石」と呼ばれる。パンフレット解説には「中央の礎石を座禅石に見立て・・・」とあるが、これは先ほどの「踏分石」を視点場とした記載であり、観光客が見られるポイントではない。実際の「座禅石」は写真右にある大きめの平石のことである。
続いて、方丈へ。「真如の庭(しんにょのにわ)」だけは散策できるため、このようなアングルの写真を撮影できる。すると、このようになだらかな刈り込みで方丈と苔庭を繋いでいることがわかる。方丈から眺めてみると、、、
このような景となり、刈込みと生け垣の間に生まれた苔庭に自然な立体感が生まれた見事なデザインといえよう。
生け垣の裏手に歩を進めると、趣ある苑路へと導かれる。
苔付いた巨石による風格ある三尊石。
さらに紀州の青石で組まれた三尊石もみられる。ひとつひとつを注意深く眺めることで美しさを感じられる庭園であるが、なにげなく入園すると物足らなさを感じるかもしれない。ただ紅葉も美しいようなので、混雑する京都の紅葉穴場スポットとして押さえておくと良いだろう。
桂春院の案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 大徳寺大仙院(京都)のような花頭窓を跨った意匠がみられる。 |
× | 紅葉シーズン以外だと見所を把握した上で訪れないと、物足りなさを感じる。 |