私の庭園巡りの原点。重森千靑さんにお会いしてきました。

2025年11月26日、(有)重森庭園設計研究室の事務所を訪問させていただきました。 代表を務めるのは、日本庭園を志す者であれば誰もが知る昭和の作庭家・重森三玲氏のお孫様にあたる、重森千靑(ちさお)さんです。当日は千靑さんのご子息であり、4代目を担う紀人さんもご同席くださいました。(ちなみに2代目は重森完途氏となります)
私が日本庭園に初めて興味を持ったのは、高校生の頃に出合った兼六園がきっかけでした。その後、本格的に全国各地の庭園を取材し始めたのが2017年のことです。 当初、知識はほとんどありませんでしたが、ある一冊の書籍に出合ってから、石組や地割りなど「日本庭園の本質」が理解できるようになり、庭園巡りが一気に楽しくなりました。そのバイブルとも呼べる一冊こそが、千靑さんが執筆された『日本の10大庭園』です。
それ以来、「いつか千靑さんにお目にかかりたい」と願い続け、この度7年越しにその夢を叶える機会をいただきました。 当日は、これまで手掛けた庭園の解説や、十二石で組まれた「合わせ七五三石組」など、初めて耳にする石組のお話も伺うことができ、大変勉強になりました。
さらに千靑さんは京都工芸繊維大学で非常勤講師を務められていますが、講義を受ける学生さんが、私の運営する「庭園ガイド」を参考にしてくださっているとのお話も伺いました。まさか学生さんたちに評価いただいているとは知らず、驚きとともに大きな喜びを感じました。
また、紀人さんは民間企業での経験を経て、4代目を継ぐ決意をされたそうです。 今年、デビュー作となる「Nazuna 京都 西本願寺」では、浴室内に枯山水を作庭されました。本来「水を用いない」枯山水を、あえて浴室という空間に合わせるという斬新な発想に、大変驚かされました。
お話が楽しすぎて、つい2時間も長居をしてしまいましたが、最後に事務所の中庭を撮影させていただき、おいとましました。 またいつか、千靑さんと紀人さんにお会いできる日を楽しみにしております。この度は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

重森庭園設計研究室の事務所 中庭
