伝嗣院
でんしんいん
伝嗣院は室町時代(1445)に創建した曹洞宗の寺院。境内には小堀遠州によって作庭されたと伝わる枯山水が残る。
甲府盆地を一望できる丘陵にある伝嗣院は、櫛形山を借景とする枯山水。文字の凹凸しか読めなくなっている園内の案内版によると「夢窓国師(夢窓疎石 むそうそせき)の指導により、今から400年前に小堀遠州が造った庭園」と紹介されている。夢窓疎石は三重で生まれ山梨で修行した僧侶であるが、疎石と江戸時代の大名茶人である小堀遠州は時代が重ならない。また創建時には疎石は死去していることより、夢窓疎石との関連性はつじつまが合わない。
山畔を活かした庭園で、枯滝石組が印象的な枯山水になっている。
滝頂部は遠山石と思われ、案内版と読み合わせると滝石組全体で蓬莱山に見立てている。赤マーカーが遠山石、青マーカーが滝石組となる。刈込みにより滝石組が一部隠れているのが残念。
滝水は心字池に注がれる。
心字池の護岸石組は高さを揃えたものだ。
亀出島のような意匠も見られる。
桜シーズンということもあり、枝垂れ桜が美しかった。
小堀遠州によって作庭された庭園に、桜に、甲府盆地の眺望と一度に複数の光景が楽しめる寺院だった。写真は愛車のAudi A5。
○ | 小堀遠州によって作庭されたと伝わる枯滝石組が迫力ある。 |
× | 滝石組周辺、および池泉前の刈込みにより石組が弱まっているのが勿体ない。 |