御誕生寺は昭和23年(1948)に曹洞宗の寺院であったが荒廃。ところが、元曹洞宗管長によって平成14年(2002)に現在地に小堂が建立され、平成21年に本堂なども建立されて再興された。枯山水「転法輪の庭」も同年に曹洞宗・建功寺(横浜市)の住職であり、作庭家でもある枡野俊明氏によって造られた。また捨て猫の保護・飼育をしていることでも知られ「猫寺」とも呼ばれている。
「ねこ寺」としてNHKのドキュメンタリー番組でも紹介された御誕生寺は、曹洞宗・建功寺の住職でありながら庭園デザイナーとしても知られる枡野俊明氏による枯山水があることを建功寺の公式サイトで知った。
枡野俊明氏もNHKで紹介される庭園界で著名な方であり、国内外多くの庭園を手掛けている。こちらの枯山水は「瑩山禅師 転法輪の庭(けいざんぜんじ てんぼうりんのにわ)」と名付けられている。瑩山禅師は曹洞宗大本山の總持寺(そうじじ)を開山した僧侶、転法輪とは仏が教えを説くことを意味している。開山:初代住職のこと
枯山水は延段で分断されているようにみえるが、白砂敷きの枯流れで繋がっているデザインになっている。
野筋に大胆に延段を設けているのが非凡な発想だと感じた。また、延段も霰零し(あられこぼし)と切石を組み合わせた「行の延段」としている。自然石と切石を組み合わせたものを「行」の延段と呼び、自然石だけのものを「草の延段」、切石だけのものを「真の延段」と呼ぶ。霰零し(あられこぼし)に使っている小石も上面が平になるように丁寧に敷かれたもので、かなり手間を掛けたものであることが分かる。
少し離れたところから眺めて、苔の野筋も連続性を持たせていることに気づいた。また野筋と枯流れは曲線、延段と生垣は直線をベースとしているのも、曲線美しさを際立たせる工夫ではないかと想像した。
苔をメインにした枯山水であるが、日当たりが良く、苔を維持するのが大変ではないかということが気になった。
○ | 20坪ほどのコンパクトな枯山水ながらも、枯山水に大胆に幅広の延段を設けながらも、庭園の美しさを保ちつつ、実用性も確保した「用と景」のバランスが見事だ。 |
× | 特に見当たらない。 |