法師は粟津温泉の開湯と同時に湯治場として奈良時代(718年)に開業した温泉宿で、かつては「世界で最も歴史のある旅館」としてギネスブックに登録されていた。日本庭園は江戸初期に作庭され、その後小堀遠州によって監修によって改修され、現在の姿になっている。
粟津温泉にある老舗温泉旅館「法師」。受付で入館料を支払うことで、宿泊者以外でも庭園を見学できる。パンフレットには鶴石組、亀石組の存在が記載されているが、マップには「亀」の文字しかなく鶴石組を判別できなかった。写真は「築山(親亀)」と表記された亀石組である。力強い石を使った豪壮な石組に圧倒される。
一見乱雑に積まれたように見える石組であるが、長石を突き出したように配置して亀の手脚などを表現している。
亀石の南側にある春日灯籠。写真左奥が亀石組である。
亀石組の頂部から石組を観察。亀石組から出島に向かって石橋を渡している。
先ほどの石橋を横から撮影。頂部には鋭い横石が伸びており、実に美しい。
北方向に移動して巨大な雪見灯籠がある場所へ。正面が築山(小亀)と記載されている亀石組。
大亀と比較すると小振りで、柔らかな石で構成されているが、十分に存在感のあるた亀石組だ。
右手には洞窟石組がみられ、左手には突き出した横石を立石で支えている。
横石を立石で支えている様子を横から撮影。
パンフレットには「蓬莱思想を具現化した神仙蓬莱の世界を表現」と記載。蓬莱とは不老不死の仙人が住むとされている三神山(さんしんざん)と呼ばれる「蓬莱」「方丈」「瀛州(えいしゅう)」の3つの山を指す。この3つの山が法師庭園に亀石組で表現された築山を表すのだろう。
客室からも庭園をみられる。
池泉は心字池となっている。
ラウンジから庭園を眺める。ここから眺める庭園が小堀遠州によって監修されたところではないかと、パンフレットでは推測されている。
法師庭園案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 奈良時代に開業した伝統ある温泉宿に残された庭園は小堀遠州によって監修されたと伝わる。小堀遠州の確かな記録はないが、力強い亀石組は遠州ブランドがなくとも価値あるものだ。 |
× | 特に見当たらない。 |