宝珠寺 涅槃の庭
ほうしょうじ めいていのにわ
創立は室町時代初期の1350年。臨済宗で、末寺3,400あまりの寺を持つ臨済宗最大の宗派・妙心寺派に属する。庭園は昭和56年(1981)に中根金作により作庭された枯山水庭園で「涅槃の庭(ねはんのにわ)」と呼ばれる。中根金作:足立美術館を作庭。「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家。
今や全国区となった足立美術館を作庭した中根金作が手掛けた庭園が磐田市にある。そして、この磐田市が中根金作の故郷でもある。こちらが枯山水「涅槃の庭(ねはんのにわ)」である。見学は事前に電話での連絡が必要となっているが、特に時間指定などはなく、「ご自由にご覧下さい」とのこと。時間に縛られずありがたい。
朝9時頃のため、誰もいなくゆっくりと眺める。こちらが深山の石組である。
深山の石組をズームアップ。中央の石と脇に添えられた巨石に品格があり美しい。中央の石は青石だろうか。
深山の石組を少し引いて撮影してみる。右手にある山型の石に注目してみる。
山型の石をズームアップ。遠山を表現しているのだろうか、よくぞこのような意匠をもつ石を探し出してきたものだと感心する。
枯山水の東側にはソテツ(蘇鉄)が植えられている。ソテツはシダ類であり、椰子の木と形状がよく似ていて、日本庭園にはマッチしないようにみえる。しかし、日本庭園にソテツが用いられたのは室町時代からといわれ、全国各地の日本庭園でよく見られる伝統的な技法なのだ。
宝珠寺のサイトには、「二つの築山の間から、川の流れが蛇行して大海に流れる様子を砂利で表現」と記されている。なるほど、取材後に解説を読んだため、この様子を明確に捉えた写真がないのだが、この写真から感じとってもらえるだろうか。
○ | 中根金作の生まれ育った町である磐田市で、彼の静岡県で唯一の作庭した庭園を楽しめる。特に築山に造られた深山の石組に品格を感じる。 |
× | 背景に一般道やプレハブの建築物が映り込む。 |