浄居寺
じょうこじ
山梨県には浄居寺が2ヶ所ある。ひとつは山梨市にあり、日本初の作庭家ともいわれる禅僧・夢窓疎石(むそう そせき)が初めて開山した寺院である。この浄居寺が荒廃し、北杜市の地で引き継ぐことになり常牧山 浄居寺が江戸前期(1658)の創建。その後、山梨市の浄居寺も再興され県内に2ヶ所の浄居寺となる。
日本初の作庭家ともいわれる禅僧・夢窓疎石が初めて開山した山梨市の浄居寺と深い繋がりのある北杜市の浄居寺。尾根筋にはさまれた谷あいの地の地を活かした作庭には、夢窓疎石の遺風を感じさせる。
本堂からの眺望を中心とした池泉観賞式庭園であり、池泉を取り囲むような地形に大小様々な石を据えている。
正面には高さ1.3mの長方体の立石を中心にした集団石組がみられ、護岸石組は力強く組まれている。
池泉には小さな石組と舟石を据えている。この石組は不老不死の薬があると信じられた蓬莱山を思わせるもので、蓬莱山にある宝を運ぶ舟石という意図だろう。蓬莱山と舟石の組み合わせは古庭園でたびたび見られるものである。
舟石は見事な意匠であり、舟石の上には蓬莱山から持ち帰った宝を運んでいるとも考えられる。また、蓬莱山の平石におかれた灯籠はミスマッチなもので、おそらく作庭当初にはなく晩年に置かれたものだろう。
庭園東部には遣り水が作られ、自然地系の起伏とともに庭園に奥行きを与えている。
池泉は心字をかたどった心字池となっており、2本の切石が架けられている。
本堂正面からの眺め。
池泉南部も地形を活かした石組であり、植栽の適切なボリュームで石組を隠すことなく手入れされている。
山畔の巨石には熊?と犬?をかたどった石像が飾られていた。庭園としては知名度が低いが隠れた名園といえよう。
○ | 本堂から眺めても、反対側から眺めても破綻しない地の利を活かした池泉庭園。 |
× | 特に見当たらない。 |