光円寺
こうえんじ
光円寺は東本願寺を本山とする真宗大谷派の寺院である。開基は室町後期(1562)であり、境内に残されている庭園は江戸初期の末と言われている。昭和53年に庭師・塩出佳孝によって修復されている。
googleマップで偶然見つけた寺院庭園。お寺の方にお伺いすると、庭園は重森三玲が昭和18年5月発行の「林泉」第101号に寄稿された文章によると、江戸時代初期の末、元禄年間と思われるとのこと。境内でライブやマルシェ、さらには池泉庭園でのザリガニ釣りのSNS投稿などもあり、檀家と地域住民に愛されている寺院である。
さて、本堂前提には大刈り込みで囲まれた池泉庭園が造られている。
大刈り込みに沿って築山を設けて、集団石組で特に長石を意欲的に立てているのが特徴的だ。本庭園をみて思ったのが、鹿児島県の知覧麓 武家屋敷でみられる邸宅庭園と類似していることだ。
雑草が全くなく綺麗に手入れされていることが分かる。園内の解説文と合わせて説明していくと、右手の築山上部が鶴を表し、頂上の切長石で鶴の首を模した鶴首石(かくしゅせき)となっている。築山の山裾にも立石があり、この立石で亀の頭を模した亀頭石(きとうせき)となっている。そして築山全体を蓬莱山に見立てることで、古庭園で良く表現される「鶴亀蓬莱式庭園」となっている。
出島から架かる石橋は、2石の切石をアーチ状に渡したものであり美しい意匠だ。
護岸石組は何段にも積み重ねられており力強さを感じさせてくれる。
白砂敷きの空間と意欲的な石組、そして大刈り込みのよる生け垣との対比が美しく、知られざる福山の名園といえよう。
○ | ひとつの築山で鶴と亀を表現した希有な古庭園であり、また大刈り込みに囲まれた様子も圧巻。 |
× | 特に見当たらない。 |