久保家庭園
くぼけていえん
(※個人邸であるため、住所は非公開としており、地図は実際に所在地ではありません。)ワシントンのポトマック河畔の桜並木は大正元年(1912)に日米の平和と親善の象徴として日本から贈られたものである。その桜は兵庫県の植木産地、東野村の久保武兵衛(くぼたけべえ)が育てたヤマザクラを台木にして、東京の荒川堤の桜から採った枝を接木したものである。この久保武兵衛を父に持つ久保武久の邸宅に、昭和45年(1970)に重森三玲が作庭した枯山水が残されている。
個人邸に重森三玲の作品が残されている久保家庭園。今回は現地で直接お願いさせていただいたところ「ナンボでも見ていって」と快く見学許可いただいた。石を意欲的に立て、州浜模様の延段が続く、ひと目で重森三玲の作品と分かる意匠だ。
入口から書院まで州浜模様の延段で繋がっている。
重森三玲の蓬莱山と、長男である重森完途による蹲踞(つくばい)。
野筋に意欲的に石を立てた須弥山。
塀沿いに連山風の石組を設けている。連山風の石組を設けた、芝で覆われた島は防護ネットで覆われていた。
入口から延段が二叉に分かれ、中央に蹲踞のある石組を設けている。
州浜模様の延段。
茶室のような空間もある。こちらで使われている石は、これまで見てきた枯山水と異なるものであり、作庭時期も作庭家も異なると推測する。
連山風の石組越しに須弥山を望む。
○ | 重森三玲の作品で、州浜風の延段を歩きながら回遊式で楽しめる珍しいタイプの庭園がみられる。 |
× | 住宅地に囲まれており塀も低いため、背景に住宅が入ってしまうのが残念。 |