西谷邸 旭楽庭
にしたにてい きょくらくてい
昭和4年(1929)に、重森三玲と知人だった西谷氏からの依頼により作庭。約200ヶ所の庭園に携わった三玲の3作品目となる庭園は「旭楽庭」と名付けられた。自宅以外の最古となる庭園で役所への予約制で見学できる。
吉備中央町黒山には、重森三玲の作品が楽しめる2つの個人庭がある。こちらは西谷邸にある「旭楽庭」。もうひとつは小倉邸にある「曲嶌庭」で両邸宅は徒歩3分圏内である。まずは旭楽庭の入口となる西部を望むと、奥には枯滝石組が造られている。
現存する重森三玲の庭園としては、生家の重森三玲生家跡庭園・松籟園庭園(しょうらいえん)に次ぐ2番目に古い庭園であり、3作品目となる。
滝石組を眺める。西谷氏による巨石の立石自体が滝を見立てているとのこと。つまり滝石である。
旭楽庭の中程を眺める。中央の石組は低く両側は高く組まれ、連続する石組で山をイメージしている。これは借景を意識した意匠であろうか。写真中央にある石に近寄ってみると・・・
舟石が見つかる。先ほどの滝石組が不老不死の仙人が住む蓬莱山も表現しており、舟石は蓬莱山へ向かう「入り舟」となる。
旭楽庭の左手を望むと、築山に石が組まれている。
旭楽庭の東側には「鶴亀兼用の島」がみられる。刈込みにより分かりにくく説明を受けないと見過ごすだろう。右側の刈込みから鋭い立石が顔を覗かせており、こちらが鶴首石である。
北側に回り込み撮影。赤い▲マークが亀頭石である。左に納屋を造ったことにより、石を少しずらしているとのこと。ちなみに、刈り込みがない状態の写真は中田ギャラリーで確認できる。
細長い狭い空間に滝石組、蓬莱山、入舟、亀石組と様々な要素が詰まっている。また、沓脱石(くつぬぎいし)は立派な天端石(てんぱいし)である。天端石:石の上面が平らな石。
○ | 重森三玲の作品は借景を意識しないが、こちらは場所柄、借景を意識した造りで貴重だ。 |
× | 鶴亀兼用の島は、納屋建築により石が少しずらされ、かつ植栽によりその姿を確認しにくい。 |