南専寺
なんせんじ
南専寺は室町時代(1475)に創建した浄土宗本願寺派の寺院である。江戸初期に現在地に移転し、本堂裏にある池泉庭園は江戸中期に作庭されたとされる。平成25年(2013)に県指定名勝に登録された。
南専寺には県指定名勝があり、事前電話したところ自由に見学してよいとのこと。永平寺の勅使門(ちょくしもん)だったといわれる桃山時代の山門をくぐると本堂があるが庭園がみあたらない。そう、寺院にある庭園は本堂裏や書院裏に造られていることが多いため、本堂の裏手に回ってみると、やはりここにあった。勅使門:天皇からの指示書を持参する使者が通る格式ある門のこと。
書院から観賞する池泉観賞式庭園である。池泉には鶴島と亀島を設けている。
まずは鶴島。といっても後世に護岸石組ごと改修されたようで、その様相は見当たらない。しかし出島と繋ぐ橋には趣があり、作庭当初のものと推測されている。
自然石による石橋は鶴島の一部と仮定すると、鶴の首となる鶴首石と想像することもできる。
独特の形状をもった石橋。南専寺庭園での最も美しい石だと感じた。
亀島は雑草により、その形状が分からなくなっているのが残念である。
池泉奥に2ヶ所の三尊石がある。三尊石は漢字の「品」のように配置されることが多いが、直線的に配置している。例外も多いが、三尊石が直線的に配置しているのは江戸中期の特徴とされる。
池泉北部の出島付近に石組がみられる。
3・2石で組まれ、特に背の高い立石は眺める角度によって形状が変わるのが面白い。一つ前の写真と比べてみてください。
池泉南部には小滝があり、その滝石組は割れた石から流水するような意匠である。
○ | 鶴島と出島を繋ぐ自然石による石橋が美しい。 |
× | 亀島の雑草により全貌を把握しにくい。 |