遠照寺は平安時代(821)に創建されたと伝わる日蓮宗の寺院。170種類2000株の牡丹が植えられ、5月中旬から下旬にかけて美しく咲くことにより「ぼたん寺」とも呼ばれる。本堂横には江戸初期とされる枯山水がある。
本堂、庫裏(くり)、渡り廊下を囲んだ敷地に造られた「鶴亀合掌の庭(つるかめいのりのにわ)」。手前の中島が亀島となり、奥に枯滝石組と鶴石組を造っている。
手前に亀島の蓬莱山に見立てた中心石(後述) 。奥には枯滝石組と両側に鶴石組がある。
解説によると、手前が小鶴島で右奥が鶴石組となっている。
渡り廊下から小鶴島を正面から撮影。立石と山形石による美しい意匠である。
鶴石組は、横石で鶴の組みに見立てた鶴首石(かくしゅせき)と、2枚の平石で鶴の羽に見立てた羽石で構成されている。
枯滝石組の頂部には三尊石。その右手には2つの立石が寄り添った二石組がある。これは合掌石組と呼び、本庭のテーマである「合掌(いのり)」から生まれたものである。同様の合掌石組は、2つ後の写真の滝石組の左側3mほどのところにもみられる。
三尊石の下には石橋を渡していることから、玉澗流(ぎょっかんりゅう)の滝石組となっている。玉澗流は、安土桃山時代の作庭であり、宋の有名な水画家・玉澗の山水画がモチーフ。背後に大きな築山を造り、その間から滝を落とし滝の上に石橋を架けるのが特徴である。他には和歌山の粉河寺庭園や、名古屋城 二之丸庭園などでみられる。
渡り廊下から亀島を撮影。中島の中央にある石が中心石は、蓬莱山を表している。蓬莱山とは不老不死の妙薬があるとされる伝説上の山であり、鶴、亀と同じく長寿を意味したものである。
蓬莱山に見立てた中心石と護岸石組を焦点距離95mmで撮影。力強さがわかる豪華さ。
左が亀の頭となる亀頭石で、右端が亀尾石、亀脚石もみられる。コンパクトな庭園に様々な要素が詰まっている。伊奈エリアに訪れたら、ぜひとも立ち寄りたい庭園と感じた。
○ | 亀島の護岸石組が豪華であり、小鶴島や鶴石組も具象的で分かりやすく親しみやすい。玉澗流になっている枯滝石組も見逃せない。 |
× | 特に見当たらない。 |