真田邸
さなだてい
松平定信を曾祖父にもつ信濃松代藩の第9代藩主・真田幸教が義母の住居として、江戸末期(1864)に建築。明治維新以降は真田家の私邸となる。昭和41年(1966)に長野市に譲渡され、昭和44年に真田宝物館として開館。平成22年(2010)に庭園が修復整備された。
奥象山を借景とした池泉回遊式庭園をもつ真田邸は、京都に庭師によって作庭されたと伝わる。現地では御殿からの座観式となり庭園を散策はできない。また2階もあるが、特別公開時期のときしかアクセスできない。
御居間から額縁庭園。池泉は水路で繋がっており、これは松代の武家屋敷の複数の「泉水(庭池)」を経て、真田邸に流れ込んでいる。このような泉水路をもつ庭園が、松代エリアにおける庭園の特徴となっている。
借景となる奥象山により庭園に奥行きが生み出されている。心字池からは遣水が流れ御居間前の小さな池泉へと導かれる。ちなみに、こちらの庭園は「水心秋月亭(すいしんしゅうげつてい)」と名付けられ、心字池の奥に三尊石を配している。本記事の最後に水心秋月亭の図巻を掲載している。
望遠レンズ(約250mm)で撮影すると三尊石と滝口がみえる。
さらにトリミングしてみると、築山に立石による三尊石が組まれ、右手が滝口となっている。
心字池の東側(庭園に向かって左)
表座敷にある風流な手水鉢。
表座敷の入側越しの額縁庭園。松代には水路によって100ヶ所ほどの泉水(池庭)に水が供給されている。庭地から隣家の庭池へ水が直接流れる泉水路は珍しいもので、松代は全国的にも希有な池庭群となっている。
表座敷からの額縁庭園。
印象的な内廊下。
水心秋月亭図巻 [ 案内図を拡大する ]
○ | 全35室もある真田邸。様々な座敷から額縁庭園を愉しめ、借景と池泉庭園により優美な姿を魅せてくれる。 |
× | 三尊石と滝口は望遠レンズがないと観賞できない。 |