徳川家康が征夷大将軍となり江戸に幕府を開いた1603年に、佐川領主・深尾家の菩提寺として青源寺が創建された。戦前の昭和10年(1935)に第二類の国指定名勝であったが、昭和31年に第二類は全て指定解除され、以降は高知県指定名勝に。作庭時期は江戸初期とされ、竹林寺(高知市)・乗台寺(佐川町)と並ぶ土佐三名園とされる。
法事など無ければ見学できる寺院庭園で、私は事前電話連絡をして空き時間を確認してから訪問。お寺の方が対応可能であれば、当日のお声がけでも見学できると思われる。戦前は竹林寺(高知市)・乗台寺(佐川町)が全て国指定名勝(第二類)に登録されていたこともあり、土佐三名園と称される。
池泉南部には枯滝石組を造っている。いくつもの庭園を見学できる方ならすぐに気づくが、紅葉メインで訪問している方だと滝には気づかないだろう。
分かりやすいように枯滝石組に青ラインを敷いた。後述するが写真右側には少し変わった三尊石のような石組もみられる。
枯滝石組の上部は三尊石になっており、滝壺に置かれた水受石や、水を左右に分ける水分石などもみられる。
池泉北部にも池泉があるが、こちらは昭和初期に造られたもので、特に見るべき要素は見当たらなかった。写真左側にある岩島は浮石を置いており、今回の訪問で気づいたが土佐三名園の全てに浮石がある。竹林寺庭園は鎌倉時代に作庭され時代が異なるが、竹林寺庭園をお手本にしたのだろうか。そういう観点でみると、庭園に岩盤がせり出しているのも共通している。
浮石を撮影。
池泉を挟む苔庭と護岸石組。護岸石組は低く組まれ、水平に対して凹凸をつけることで汀に変化を生み出している。
竜淵山の斜面をそのまま借景としており、右半分は自然のままの岩盤となっている。
記事前半で触れた三尊石風の石組。斜面に埋め込まれた感じで組まれているので、洞窟石組のような意匠をもった三尊石組だ。
本堂と客殿の間には中庭を設け、客殿の沓脱石から続く飛石の意匠が面白い。
刈込みがハート型に見えるのは偶然だろうか。
客殿側からは本堂を望む。苔庭、刈込み、砂利の使い方に品格を感じる。
最後に客殿に用意された観賞席。当日は豪雨であっため、雨を防げる伽藍から撮影できたのは有り難かった。庭園ガイドでは室内からの観賞できる庭園だけを絞り込んで探すこともできるので活用して欲しい。使い方は庭園一覧ページで上方にある「雨でも楽しめる」にチェックをすれば良い。
○ | 竜淵山の岩盤をそのまま活かした力強さを感じさせる池泉観賞式庭園。低く組まれた護岸石組と苔庭の組み合わせも美しい。 |
× | 特に見当たらない。 |