西来院は鎌倉時代(1259)に、蘭渓道隆が建仁寺第11世の住持として入った際、その隠居所(塔頭)として建てられたものです。つまり開山は蘭渓道隆である。蘭渓道隆は鎌倉時代に禅の教えを広めるために、中国から来日し、建長寺(鎌倉市)を開山したことでも知られる。令和10年(2028)に蘭渓道隆の750年遠忌を迎えるにあたって、令和6年(2024)に中根金作が創設した中根庭園研究所によって作庭された。中根金作とは、「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家であり、代表作には島根県の足立美術館が挙げられる。
2024年に初めて一般公開となった西来院。お寺の方に伺うと、元々お庭があったわけではなく、蘭渓道隆の750年遠忌を迎えるにあたって、新たに庭園が作庭されたとのこと。まずは峨眉乗雲(がびじょううん)と名付けられた本堂前枯山水より観賞していく。
峨眉乗雲(がびじょううん)とは、中国の四川省にある名山「峨眉山(がびざん)」であり、蘭渓道隆は峨眉山の麓で生まれ、峨眉山で修行していたことより名付けられている。お寺の方に伺うと、こちらの石は峨眉山から産出された石であり、中国仏教協会から奉納されたとのこと。
峨眉乗雲は2024年完成後に、2025年に石組が増設されている。2024年はご本尊の正面にあたる場所に三石組で組まれた巨石のみであり、こちらが峨眉山から産出された石である。そして2025年には天竜川から産出された天竜の石を新たに据えている。
こちらが峨眉山の石による三石組。
峨眉山を巨石で表し、苔の野筋で雲を表現している。つまり峨眉山の景色をイメージしているのだろうか。
ちなみに峨眉山とは世界遺産に登録された山であり、標高3099mの山で仏教の聖地でもある。成都から高速鉄道とロープウエイを乗り継いで、2時間ほどでアクセスできる人気の観光地でもある。
こちらが峨眉乗雲の東側であり、2025年に天竜の石が新たに据えられた。天竜の石とは、三波川変成帯の緑泥片岩をさしており、通称「天竜青石」と呼ばれる。
天竜石に三尊石と巨石。ちなみに峨眉乗雲を作庭したのは、中根金作が創設した中根庭園研究所であるが、中根金作は遠州生まれで、そこを流れる川が天竜川。そのような経緯から天竜石が選定されているのである。
前庭「九華青蓮(きゅうかせいれん)」。こちらの空間では、抹茶を頂くこともできる。正面に見えるのが、前庭「九華青蓮」の由来となる中国安徽省にある九華山に見立てた石組である。
九華山は中国四大仏教名山のひとつで、地蔵菩薩の聖地として知られる。
そしてこの九華山は蘭渓道隆が修行した場所でもある。そして「青蓮」とは「青い蓮の花」のことであり、9つの阿波青石を蓮に見立てている。
仏教において蓮は清浄さの象徴であり、前庭「九華青蓮」は仏教の理想郷をイメージした枯山水といえるだろう。
そして中庭は白砂敷きに竹を植樹することで、白と緑のコントラストが美しい。
さらに本堂天井には中国人アーティスト・陳漫(チェン マン)による白龍図。通常、本堂で寝転んで撮影することは避けるべき行為であるが、山門に寝転んで撮影する写真が掲載されていたことから、こちらでは許可されているのだろう。ということで、先ほどの白龍図は寝転んで撮影したものである。
| ○ | 蘭渓道隆の修行した地をイメージした枯山水であり、特に仏教の聖地といわれる峨眉山から産出された石であり、大変貴重な石組といえる。 |
| × | 特に見当たらない。 |