世界2,800ヶ所以上の夜景を巡った男が庭園を巡る
国指定名勝

旧秀隣寺庭園(興聖寺)

きゅうしゅうりんじていえん(こうしょうじ)
美しさ ★★★
静寂さ ★★★
滋賀県高島市

旧秀隣寺庭園(興聖寺)の由来

室町末期(1528)に将軍・足利義晴のために、この地域の氏族である朽木宜綱(くつきし)によって館を建てた際に作庭された庭園である。足利庭園ともいわれる。朽木宜綱が亡き妻のために寺として秀隣寺と名付けたが、江戸時代に火災で焼失し、その後、朽木家の菩提寺である興聖寺(こうしょうじ)がこの地に移転。庭園は室町幕府の管領(将軍に次ぐ職位)であった細川高国によって秀隣寺に作庭されたものが残っている。






  • 旧秀隣寺庭園(足利庭園)の全景

    滋賀県を代表する庭園のひとつ旧秀隣寺庭園。将軍・足利義晴が作庭したとも伝えたれるため足利庭園とも呼ばれる。観光地から離れていることもあり、名園にして静けさを保っている。庭園は自由に出入りできる空間にあるが、社務所で拝観料を納めてから庭園を散策する。

  • 亀島

    まずは亀島。右の立石が亀頭石であり、左の立石が中心石となる。中心石とは、鶴島や亀島などの中心部に置かれる石であり、分かりやすい例としては鎌倉の建長寺がある。

  • 亀島

    亀島を別角度から撮影する。手前に池底と接地している石が亀尾石であり、その上に据えているのが、先ほどの中心石となる。

  • 鶴島

    続いて旧秀隣寺庭園で注目すべきポイントである鶴島。

  • 鶴島の解説図

    こちらを解説すると、このようになっている。まずはひときわ優美な羽石。両側に羽石がみえる。その奥には蓬莱山を兼ねた護岸石組となる蓬莱護岸がみられる。また羽石の間には亀脚石がある。亀? そうなのです。こちらは亀島を兼ねた鶴亀島なのです。

  • 鶴島の解説図

    反対から眺めると、亀頭石がみられる。そして先ほどの左手にあった羽石はこちらからは亀脚石となる。

  • 鶴島

    引き続き鶴島を別角度から撮影すると、羽石の豪壮な姿を魅せてくれます。

  • 鶴島

    薄い石橋越しに鶴島を眺める。護岸石組にも力強さを感じられる。

  • 曲水式の地割り

    鶴島、亀島、そして左手に2ヶ所の枯滝石組を眺める。曲水式の地割りであり、眺める方向によって表情が変わる庭園である。

  • 枯滝石組

    手前の枯滝石組。

  • 枯滝石組

    正面から撮影すると三尊石のように中央に滝石を据え、両側に滝添え石を組んでいる。その手前には鯉魚石を据えている。鯉魚石とは鯉の滝登りを見立て、登りきった鯉だけが竜になるという伝説。もちろん鯉が滝を登るようなことはできないが、ひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したのである。鯉魚石の分かりやすい例としては、山口市の常栄寺 雪舟庭がある。

  • 枯滝石組

    もうひとつの枯滝石組。中央の立石は中尊石となる。

  • 遣り水

    池泉へと繋がる遣り水。

  • 鶴島

    最後に再び鶴島。羽石の裏側にもうひとつ羽石があるのが分かるだろうか。今にも池泉から飛び立ちそうな意匠に感動すら覚える。


総評
池泉の複雑さ、鶴島の豪壮さ、護岸石組の力強さなどコンパクトながら優れた優美な意匠をもつ。
×特に見当たらない。


アクセス
滋賀県高島市朽木岩瀬374
JR安曇川駅から朽木線バスで「岩瀬」下車 徒歩3分/琵琶湖大橋から車で約40分

駐車場
有り(無料)

開園時間
午前9時~午後5時

入園料
300円

公式サイト

地図
正門にピンを立てています。
訪問日 2019-10-20 (日) 更新日 2022-09-18



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よくある質問


いつごろ作庭された庭園ですか。
作庭時期は室町末期(1528年)です。
雨でも濡れずに楽しめますか。
いいえ。屋外を回遊する必要があります。
抹茶や珈琲などを楽しむところはありますか。
残念ながら、ありません。



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