瑞巌寺は平安時代(828)に天台宗の円福寺として創建。鎌倉時代に臨済宗建長寺派に改宗、江戸時代には臨済宗妙心寺派に属する。正式名称は「松島青龍山 瑞巌円福禅寺」であり通称「瑞巌寺」と呼ばれる。平成20年から平成30年(2018)まで「平成の大修理」が行われ、中庭の枯山水もその時期に作庭したものとなる。作庭は江戸時代から続く京都の(株)植音によるもの。また2024年には本堂前前庭も植音により作庭される。
平成の大修理に合わせて中庭に整備された枯山水。この場所には以前から庭があったが、そのときに使われていた石などを活かして「松島に息づく文化・瑞巌寺が歩んできた歴史・宗旨の根幹をなす禅」という、瑞巌寺の3要素を考慮して作庭されている。
特に注目すべきなのは枯滝石組だ。滝から流れた水が松島の豊かな島々を育み、鎌倉~桃山と受け継がれてきた歴史・文化・自然の中で、僧侶が坐禅をする姿を表している庭園となっている。
二段落としの枯滝石組で、松島に流れる水を表現しているが、ダイナミックながらもジオラマのように精巧に作れていることに驚く。
苔の中島は松島の多島に見立て、背の低い樹木はツツジが植えられており春には中島に赤、ピンクの色鮮やかな花を咲かす。
中島には伽藍石(がらんいし)を置いている。伽藍石とは廃寺となった寺院の柱を支える礎石(そせき)を再利用したもので、日本庭園では飛石に使われることが多いが、こちらでは座禅石として、僧侶が坐禅をする姿を表している。
白砂には市松模様の砂紋。
本堂から額縁庭園を撮影。
庫裏から本堂(左)と大書院(右)の間に作庭された中庭。こちらも先ほどの枯山水と同時期に造られたものだ。
こちらも松島をイメージした枯山水だろう。低い石橋を渡しており、こちらも品格を感じさせる庭園である。
L字型の敷地に枯山水を造り、橋には石灯籠を置いている。石灯籠に使い方としては初めてみるものだ。
曲線美にみとれるが、参拝客は2つめの枯山水に立ち止まるひとは少なく通過していく。
○ | 二段落としの枯滝石組が精巧で美しく、苔島の外側と内側で苔の種類をかえることで厚みと色の変化を出している工夫も素晴らしい。 |
× | 特に見当たらない。 |