安楽寺は鎌倉時代に法然上人の弟子である住蓮(じゅうれん)上人と安楽上人によって安楽精舎を建立したのが始まり。開山は、東福寺の開祖・聖一国師の高弟である仏智禅師。安楽寺は足利尊氏ゆかりの寺であり、尊氏は臨済宗の僧侶・夢窓疎石(むそう そせき)に帰依していたこともあり、境内の庭園は夢窓疎石によって作庭された。
日本初の作庭家ともいわれる臨済宗の禅僧・夢窓疎石(むそう そせき)によって作庭された山水廻遊式鶴亀庭園で、滋賀県に現存する唯一の貴重な庭園である。池は琵琶湖を模しており、築山は蓬莱山に見立てている。
山水廻遊式鶴亀庭園であることから、庭園には鶴と亀に見立てた石組が隠されている。亀はすぐに分かったが、鶴はお寺の方に伺った。
写真に図解する。石組は須弥山式石組であり、右手に見える中島が亀島となっている。手前の植栽で視界が一部塞がれているのがやや残念。そして築山を活かした地形に鶴出島を設けている。池泉に突出した岩が鶴首石となり、その背後の斜面が鶴羽となっているとのこと。そして鶴首石の上部にある立石が不動石。そして座禅石を据えている。ちなみに文頭で築山を蓬莱山に見立てていると記載したが、こちらはお寺の方の解説である。一方、頂いたパンフレットには鶴首石の右手にある山形の石を蓬莱山ではないかと解説されていたことを補足しておく。
別角度から亀島を撮影。
鶴首石と亀頭石が向かい合っている。日本庭園では鶴と亀が向かい合うように造られていることが多い。
鶴首石、不動石、座禅石。
護岸石組には洞窟石組のような意匠がみられる。洞窟石組とは不老不死の仙人が住むとされる蓬莱山には仙人が住む洞窟があるとされ、それに見立てた石組である。築山が蓬莱山に見立てていることより、こちらを洞窟石組と推測してみた。
西側には伊吹山を眺められる。
本堂から額縁庭園を撮影。
お寺の方の説明では、築山の石は仏様に見立てており、また刈込みは住職自身にて行っているとのこと。
参拝を終了して帰宅しようとしたところ、お寺の方にもうひとつに見どころを教えていただいた。山門奥の高い松であるが、何か気づくだろうか。
なんと松の枝が龍そっくりなのである。もちろん偶然の産物であるが、実に面白い。
○ | 鶴と亀が向かい合った石組を持つ夢窓疎石の庭園をゆっくり見学でき、また松の枝が龍そっくりというサプライズも良い。 |
× | 特に見当たらない。 |