永源寺は、室町時代(1475年)に創建した曹洞宗寺院。本堂裏の庭園は江戸初期に作庭されたものである。
群馬県に残る古庭園で最も古い時代が江戸初期となり、そのひとつが永源寺庭園である。観光ガイドなどでは掲載されていない庭園で、知る人ぞ知る寺院だ。
現地案内板には、山畔を活かした池泉観賞式庭園と記されている。ただ、庭園の主景となる枯滝石組に黒ホースで水が流されているのは、誠に残念なところだ。それでは、本庭園を図解していこう。
まずは山畔を活かした地形を活用した枯滝石組。滝上部に遠山石(えんざんせき)を据えている。遠山石により滝石組の立体感を増すと共に、滝上部の景を引き締める。そして、本庭園の最大の特徴である上下二段構成の池泉庭園となっている。上段は水が無い枯池である。上下二段構成では、蘭溪 道隆(らんけい どうりゅう)が作庭されたと推測される東光寺庭園(山梨市)が有名である。そして、池泉には舟石を据えている。
池泉には鶴島と亀出島が向かい合っている。
鶴島を上部から見下ろすと、このように中島になっており、2ヶ所の石橋で繋がっている。鶴島の護岸石組は高さ1m近くある厚みを持たせたもので、力強さを感じさせる。
亀出島は、このように横長になっており、右側が亀の頭になっている。
右手の亀出島先端に亀頭石があるのが分かるだろうか。左手は鶴島であり、中央にある池泉に据えた石が舟石となる。
石橋は品の良い自然石を利用している。ただ、庭園全体にいえることだが、手入れ前に植栽が豊かだったせいか、石橋や鶴島に草が残こり景観を悪くしている。
鶴島には中心石を兼ねた蓬莱山を据えている。鶴島、亀出島、蓬莱山となれば、本庭園は蓬莱式庭園となる。蓬莱山に近づいて眺めてみると、、、
蓬莱山は三尊石組で組まれている。力強く見応えあるものだ。北関東には古庭園が少ないが、文献を元に探してみると、数は少ないが残されているものだ。
○ | 上下二段構成の池泉庭園は全国的にも珍しいものである。 |
× | 主景となる枯滝石組に黒ホースが設置されている。 |