願勝寺は平安時代に創建した真言宗御室派の寺院である。境内には四国最古といわれる枯山水が残されており、鎌倉時代末期から室町初期(南朝時代)に作庭されたとされる。作庭は願勝寺の十七代の浄真和尚と関係のあった武将・細川 頼春( よりはる)、その子である頼之(よりゆき)と推測されている。平成10年(1998)に県指定名勝を受ける。
願勝寺庭園は室内から繋がる外縁側からの鑑賞となる。そのため予約は必須ではないが、お寺の方がいないと見学ができないので事前の電話確認をお勧めしたい。さて、本庭園は四国最古の枯山水であり、重森三玲によると、かつては水が流れており現在では涸れてしまったとのこと。
願勝寺庭園の魅力はなんといっても枯滝石組。パンフレットには天龍寺 曹源池庭園と同一の手法で造られている。このような枯滝石組が全国に5ヶ所あると記載されているが、他4ヶ所はどこになるのだろか。
特に傑出した中段を図解していこう。まずは水落石に大きな板状の青石を使い、両側の滝添石が水落石よりも高くなっている。そして水が落ちる下部には鯉魚石を据えている。願勝寺に訪問するような方であれば、鯉魚石の説明は不要だと思うが、不明な方は天龍寺 曹源池庭園の記事を参考にしてほしい。滝上部にも鯉魚石があると記されており、現地で寺院の方に尋ねるが不明とのこと。パンフレットには白色の鯉魚石と記載れていたため、写真の上部にあるのが鯉魚石と判断したが確証はない。
解説を取り除いた写真。実に美しい造形である。
写真下部の鯉魚石。こちらは間違いないだろう。
「日本庭園史大系(著:重森三玲)」によると。滝上部は三段の落差をもつ滝石組となっているが詳細は分からなかった。見どころとなる先ほど説明した滝は4段目となる。
鯉魚石から下部は2段の滝石組となり、曲流式で池泉へと繋がっている。
池泉は江戸時代に大きく改修されているとのこと。石橋の左手には亀島を造っている。
石橋は幅広でありつつ薄く華奢な上品なものである。そして4ヶ所に橋添石を置くことで橋に安定感を生み出している。
亀石島。中心石の奥に小さな立石があり、亀の上に子亀が乗っているようにもみえるが偶然だろう。
○ | 四国最古の枯山水であり、天龍寺と同一手法で造られた枯滝石組を見学できる。また滝石組は6段落としの珍しいタイプである。 |
× | 特に見当たらない。 |