依水園は、江戸時代前期に奈良晒(ならさらし:高級麻織物)を扱う将軍御用達商人・清須美道清(きよすみどうせい)が造らせた「前園」と、明治時代の実業家・関藤次郎(せきとうじろう)が造らせた「後園」で成り立っている。昭和33年に一般公開され、昭和50年に国指定名勝を受ける。
江戸時代の作庭された「前園」と、明治時代に作庭された「後園」で構成される依水園。東大寺や春日大社には連日多くの観光客で賑わうが、こちらは国指定名勝にも関わらず穴場化した名園。まずは江戸時代前期に作庭された「前園」から巡ってみよう。
自由に出入りできる茶室「三秀亭」からお庭を眺める。三秀亭では庭園を眺めながらの食事もできるが、今回は額縁庭園だけを撮影させてもらうことに。
前園は比較的コンパクトで、5~6分程でぐるっと回れる規模。
明治時代に作庭された「後園」へ向かうと、新日本三大夜景「若草山」を借景にした雄大な景色が広がる。東大寺も隣接しているため屋根だけ顔を覗かせる。
後園は苔が特に美しい。
後園にある休憩処。ここからの眺めも美しく、10分ぐらい庭園を眺めていた。その間、だれも参観者が訪れない静けさも嬉しい。
苔の中を抜ける砂利道が気持ちいい。これは、本当に名園だ!
公園には水車小屋もあり、その近くに小さいながらも滝がある。
池を渡るために打たれた飛び石を「沢飛石」と呼ぶ。丸形なのが面白いが、沢飛石は立ち入り禁止だ。
書院造りの茶室「氷心亭(ひょうしんてい)」。室内は出入りできないので外側から撮影。ちなみに、日本庭園にはたまにお目にかかる薄い窓ガラスを写真の主役にしてみた。薄い窓ガラス越しに、庭園が揺らいでいるようにもみえて趣がある。
後園の池泉をもう一枚。
飛び石の先には行き止まりを示す「止め石」。「関守石(せきもりいし)」とも呼ばれるが、デザイン性の高い意匠だと関心させられます。
前園に戻り、再び茶室「三秀亭」で足を休め「ダブル額縁庭園」を撮影。ダブル額縁庭園:2方向の額縁庭園。私の勝手な造語(笑)
○ | 江戸と明治に作庭された2つの池泉庭園を同時に楽しめる贅沢さ。特に後園の苔庭が素晴らしくうっとりする。 |
× | 入園料が少々高いかな。ただ、見返りに参観者が少なく静寂さを味わえるので、実質的な「×」は無いと思う。 |