城之越遺跡
じょのこしいせき
平成3年(1991)の農道整備工事中に発見された遺構。当時の新聞には日本最古の庭園とみられると記載され、古墳時代の遺跡と推測される。平成5年に国指定名勝を受け、平成9年に一般公開。
諸説あるが、古墳時代の元と推測される日本最古の庭園遺構と考えられている城之越遺跡。遺跡の中心となるのは、この大溝祭祀遺構(おおみぞさいし)であり、全体を俯瞰するために築山へ上って撮影。
先ほど撮影した築山は写真左上部のポイント。違う角度から撮影。遺構保存のため溝の岸の石に強化剤を染みこませ、石と石の間に特殊な目地を施している。
「日本の10大庭園(著:重森千靑)」によると、「この遺構は観賞用ではなく祭祀を行うための装置であったと考えられている。れっきとした最古の庭園は奈良県明日香村の飛鳥京跡苑池」と記されている。それにしても、曲線で遣り水を造る技法は、平安時代の庭園にも通じるもので美しいものだ。
下流部の流れの合流点には、階段が造られている。パンフレットによると、「貼石が施されている中で唯一水辺に下りることができる場所」とのこと。
上流部の合流点には、立石と貼石がみられる。石を貼ることで祭祀の場を神聖なものとしていた。
反対方向から撮影。石を立てるという行為が、古墳時代から既に行われていたことが伺える。
遺構に残された3つの井泉。湧き水は自然水量だけでは不足がちなため、循環システムが導入されている。
建物の柱跡を展示しているが、私が注目したのは生垣である。借景となる森林とのバランスがよく、また段差を付けた意匠が美しい。もちろん、こちらは平成に造られたものである。
城之越遺跡の案内図(パンフレットより引用) [ 案内図を拡大する ]
○ | 古墳時代に現在の庭園で使われている曲線美が存在していたことに驚く。 |
× | 庭園マニア向けの遺跡であり一般受けはしないだろ。 |