臨済宗大徳寺派の大本山である大徳寺。その塔頭寺院(たっちゅうじいん)である興臨院は、室町後期の1520年代に建立。昭和50年(1978)に方丈の解体修理時に「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作(なかねきんさく)により復元。塔頭寺院:高僧などを慕った小院
大徳寺の境内には20以上の塔頭寺院があり大半は非公開。興臨院も非公開であるが、春秋のみ特別公開される。まずは、「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作(なかねきんさく)により復元された枯山水を望む。
見所はこちらの石組。石橋、遠山石(えんざんせき)、平天石(へいてんせき)、松により蓬莱の世界を表現している。次の写真で解説。
Aが石橋。これは、日本の仏教に歴史的にも重要な寺院である国清寺(こくせいじ/上海の南200kmほどの場所)の石橋を表現。Bは遠山を抽象的に表現しており庭園用語で「遠山石」と呼ぶ。Cは天端が平で高さのある石で、庭園用語で「平天石」と呼ぶ。
少し引いた写真。石橋を繋ぐ石の背後に松があしらわれている。パンフレットには「理想的な蓬莱の世界観を表現」と記載。つまり石橋を繋ぐ両側の立石で、仙人の住む不老不死の地を表現している。
以上のことより、興臨院庭園は蓬莱式の枯山水庭園と定義できる。
方丈裏庭を望む。
方丈裏庭には三尊石風に組まれた石組があり、中央の石には文字が刻まれている。
茶室「涵虚亭(かんきょてい)」に設けられた露地。露地とは茶室に隣接した茶庭のことである。
露地には小振りの石を使い遣水が作られている。
庫裏付近で植栽がテーブルに映り込むリフレクション庭園を撮影。なお室内は立ち入り禁止であるため、反対側の縁側から撮影している。
最後に入り口から額縁庭園を撮影して興臨院をあとにする。コンパクトながら見事な石組を愉しめ満足。
○ | 立石に石橋が架けられ、松をあしらうことで蓬莱の世界を表現した石組が見事である。 |
× | 基本的には見あたらないが、敢えていうと石橋の下にあるシダ植物を手入れすることにより石橋がより際だつだろう。 |