浄土真宗・真宗大谷派の孝順寺は鎌倉時代(1208)に専念坊として創建し、江戸中期に孝順寺となる。現在の孝順寺の堂宇(どうう:建物)は斎藤実寿家の旧本邸であり、昭和12年(1937)に完成。庭園は新発田藩の庭師であった金藤紅葉郎 (きんとうもみじろう)により大正5年より着工し、大正10年(1921)に完成する。見学には事前連絡が必要となる。
電話予約をして庭園見学。1日に数軒の庭園を巡る場合は、予約が必要な庭園が複数あるとスケジュールが難しいんですよね。なぜなら、寺院のご都合で見学できない場合もあるので、巡る順に予約していく必要があるが、ご不在のこともあり、なかなか決まらないんですよね。孝順寺ではご住職が丁寧に伽藍や庭園の説明くださり、予約した甲斐があった。
庭園と宇堂は地元の雇用を生むために公共事業として行われ、その後、税金を払うために政府に売却。その後、本堂建て替えの代替として、政府から買い戻し、昭和25年より寺として利用することになったという話を住職より伺う。
池泉は、中国湖南省の洞庭湖(淡水湖として2番目の大きさ)を模している。ちなみに洞庭湖を模した池庭としては、大覚寺 大沢池(京都)がある。
建築物から池泉越しに庭園を眺める。
焦点距離300mm(フルサイズ換算)で撮影。表情豊かな庭園が広がっていそうな予感。
庭園を散策して、先ほど望遠レンズで撮影した場所に到着。江戸中期以降に作庭された庭園では、丸みを帯びた石が使われることが多いが、表情豊かな石を多用し、石組も単調にならないように工夫して積まれている。
切石橋の奥から池泉を撮影。入り江のように繋がっている様子が分かるだろうか。
孝順寺庭園で最も印象的なのが洞窟石組である。ご住職曰く、人が通れる珍しいものとのこと。洞窟型になった石組は見かけることがあるが、築山の一部が彫られ石組にしているのは初めて見た。
入口を撮影。築山と一体感が素晴らしい。
洞窟石組内部を撮影。
巨石を跨いで左右から出入できる。
書院前の黒松。ご住職の解説では、松が鶴で、松を支える石が亀とのこと。写真では松の左下に置かれた石が亀石である。
別角度から撮影。
松の根元にあるのが亀石である、言われなければ松の根に見えてしまうが、これが亀石とされている。このような鶴亀石組は見たことがなく、孝順寺では唯一無二な洞窟石組と鶴亀石組を見学でき満足度はとても高かった。
○ | 人が通れる洞窟石組は、築山との一体化した意匠であり、日本庭園好きであれば一度は訪問して欲しい豪壮で見事な石組である。 |
× | 特に見当たらない。 |