近水園
おみずえん
近水園は足守藩主・木下家の大名庭園であり、6代藩主の木下㒶定(きんさだ)の時となる江戸中期に作庭されたと推測されている。木下家のルーツとなる杉原家定は織田信長の家臣であり、妹には豊臣秀吉に嫁いだ「ねね」をもつ。昭和34年に岡山県指定名勝となる。
徳川家康に仕えた大名でもあり、千利休に師事した茶人としても知られる庭園デザイナーである小堀遠州の作風とされる近水園は、岡山後楽園・津山衆楽園と並ぶ大名庭園と言われている。
残念ながら、吟風閣(ぎんぷうかく)の休館日に訪問したため、建物内には立ち入れないが外縁は利用できた。吟風閣からは池泉に浮かぶ中島を眺められ、これは亀島になっている。
左端は亀の頭となる亀頭石であり、写真右に脚石、そして亀島中央には中心石が置かれている。御殿山を借景とした連続性も美しく風光明媚な空間だ。
亀頭石を撮影。護岸石組は低く組まれているが、しっかりしたものである。
別角度から亀頭石を撮影。
亀島を反対側から眺めると、亀尾石も確認できる。取材時には気づかなかったが、吟風閣の右手に山に登れる小径があり、庭園を見下ろすような眺望が期待できそうだ。
亀島の南部には鶴島とみられる中島がある。そして、この池泉のユニークなのは池泉を取り囲む水路にある。池泉と苑路の間に水路を設けることで単調になりがちな汀を豊かな意匠に仕立て上げている。
鶴島に架かる切石橋。護岸石組には長石を立て、切り石橋と並列で長石を水平に組んでいる。推測であるが、鶴島に作られているので鶴首石とも考えられる。
一見すると少し立派な公園にみえてしまう近水園であるが、細部を見ていくときちんと整備されており、大名庭園の名残を感じさせてくれるものだった。
○ | 鶴石、亀石を構成する主石が美しい。また池泉を二重に取り囲むような意匠も、余り例を見ないユニークで良い。 |
× | 特に見当たらない。 |