聖武(しょうむ)天皇の祈願所として行基(ぎょうき)によって創建したと伝えられる天台宗の大村寺。境内には重森三玲設計、西谷氏造園の2つの庭園や、重森三玲最高傑作と称される茶室がある。行基:奈良時代(733年)に、日本で最初の大僧正(最高位)
大村寺には重森三玲設計の2つの庭園と本坊庭園がある。まずは、三玲が設計を行い弟子の西谷氏にて造園された「層嶂の庭(そうしょうのにわ)」から紹介。ちなみに吉備中央町では、西谷邸に重森三玲によって作庭された西谷邸 旭楽庭を事前予約で見学ができる。
案内板によると「吉備高原のなだらかな、美しい山脈の景観を芝生で表し、白砂によって雲海を象徴している」とのこと。このエリアは早朝に霧が立ちこめることが多く、朝7時に訪問すると、このような霧に包まれた世界に遭遇し「白砂によって雲海を象徴している」をリアルに楽しめた。なお朝9時前には、霧は晴れ1枚目のような晴天に。
「吉備高原のなだらかな山脈」を表現した築山。写真左手にみえる石灯籠と切り立った立石も印象的であった。
「層嶂の庭」の隣には、「鶴亀の庭」が造られている。鶴と亀の縁起を石組みし枯山水の技法で蓬莱の庭を表現したと説明されている。こちらも三玲設計の西谷氏造園の庭園である。写真手前の石組が亀石組である。
亀石組を別方向から撮影。斜めに突き出た長石により亀の頭を表現した亀頭石が特徴的である。
こちらは鶴石組を兼ねた蓬莱山だろう。このように鶴石組と蓬莱山を兼ねる手法は隣町の高梁市にある備中松山城 御根小屋跡でもみられる。中央の立石は鶴の首を表現した鶴首石でもあり、三尊石の中尊になるのだろう。
少し引いたところから撮影。鶴石組は抽象的な表現が多く、まだ私には気づかないことが多い。
重森三玲作品の「功徳庵」。元は岡山市内に建築されていたものを移築したものであり、案内によると重森三玲の最高傑作の茶室といわれているとのこと。ただ通常は室内見学はできないため、その素晴らしさは感じにくい。
本坊前には枯山水がみられる。早朝訪問ということもあり、なかには入ることができなかったため、門越しに撮影。
川下には丸みを帯びた石が多く使われ、枯流れが造られている。
川上には三尊石風の立石がみられ、川下とは違い比較的角張った立石が多く使われている。
大村寺の案内図
○ | 白砂によって雲海を表現した枯山水は珍しい。霧が立ちこもりやすい早朝に訪れて雰囲気を味わって欲しい。 |
× | 特に見当たらない。 |