もともとは工業団地だった敷地に2014年に、医薬品「ササヘルス」などを製造・販売している大和生物研究所が設立した蓼科笹類植物園が開園。
全国で唯一と思われる笹庭園。八ヶ岳の麓にあり、残暑厳しい9月でも涼しく快適だった。笹離宮は外路地、内露地、笹類植物園に分かれ、まずは笹で囲まれた外路地から飛び石を伝って受け付けに向かう。
笹離宮では係の方が入り口付近で丁寧に説明してくれる。その後、竹笹類を取り入れた内露地に進むと、枯山水の石庭がみえてくる。11石を据えているが、その配置はやや平凡に感じる。
石は白砂の築山で一段高くなっている意匠は面白い。
立石と伏石の組み合わせた石組、笹と白砂の仕切りは瓦を縦に埋め込んだものであり、こちらもひと工夫されている。
小堀遠州の意匠を取り入れた待合場所「翠陰(すいいん)」の隣には、灯籠のなかでも優れた意匠と感じする織部灯籠がある。織部灯籠とは、竿の円部に、アルファベットのFを組み合わせた記号が掘られ、その下部にキリスト像が彫られていることが多い。このような織部灯籠は、千利休から茶の湯を学んだ江戸時代を代表する茶人・古田織部(ふるた おりべ)が考案したものである。
笹離宮で注目したいのが延段であり、草・行・真の3つの形がよく分かる。次の写真でそれぞれ説明していこう。延段:石を敷き詰めた苑路
露地門から繋がるの延段。大小様々な自然石のみを敷いた玉石敷きであり、このように自然石のみで構成された延段を「草」と呼ぶ。
次に、自然石と切石がミックスした「行」の延段。
そして切石だけを使った「真」の延段。草・行・真の由来は書道の「草書」「行書」「楷書(真書)」に習うものであり、路地ではよく使われる苑路の手法である。
続いて、笹類植物園に向かうが日本庭園の要素がないため、この1枚だけの写真で雰囲気をご紹介。
外路地に戻って、あまりお目にかからない黒竹を観賞。
そして60年に一度しか開花しないといわれる竹の花。花といっても稲のようなもので、実に珍しいものでタイミングの良いときに訪問したと思う。
○ | 内露地の笹はよく整備され、延段との組み合わせが美しい。 |
× | 石庭の石の配列がやや平凡である。 |