仙石庭園は、地元の医師・山名氏によって日本各地から集めた名石、奇岩、巨岩による庭園を20年余りの歳月を掛けて造営。平成25年(2013)に本格開園となった。
一般的な日本庭園の形式と異なるところも多いが、他に例のない巨大な庭園である。券売機近くの案内板には開園時間が記載されているが、これは室内の展示施設「神石殿」のことであり、日本庭園は日が照っている時間帯であれば、チケットを購入して常時入園できる。私はこれに気づかず暫く駐車場で時間を潰しており、勿体ないことをしてしまった。 [ 案内図を拡大する ]
まずは、仙石富士と名付けられた園内で最も高い場所から仙石湖を見下ろす。写真で見えている範囲が全面積の1/4ぐらいであり、周囲は山並みで囲まれた恵まれた立地である。
仙石富士から望遠レンズ(焦点距離210mm)で撮影。出島から石が続き、ちょっとした荒磯(ありそ)の景を演出している。荒磯:荒々しい磯場
なだらかに傾斜した芝地がそのまま草護岸として水面に接している。岩島には切石によって結ばれている。
芝庭にはいくつもの石組があるが、地元の川石を使い山水画の代表地である黄山(こうざん)をイメージした石組に足がとまる。川石の白い岩肌と細長い石を立てることにより、黄山の切り立った白い山肌を表現している。
入り口近くにある枯山水「昇龍庭」。名の通り、龍が天に向かって舞い上がる姿をイメージ。
続いて、わに池周辺へ移動。こちらは仙石湖と違い護岸石組で組まれている。大振りな石が使われ、さながら大名庭園だ。
高さ15mの仙神大滝は、2016年に僅か2ヶ月という短期間で作られた。滝水は山水や地下水をポンプで組み上げている。
蓬莱神仙島。不老不死の妙薬があるとされる蓬莱をイメージした石組であるが、赤色チャート、青石、石灰岩、花崗岩など、これほど異なる種類の石が組み合わさっているのは、仙石庭園だけではないだろうか。
仙神大滝の手前には不動滝が作られている。
青石による錦目孟宗園。
岩肌が滝のように美しい。枯滝石組の水落石として用いれば実に素晴らしいものになるだろう。
紹介したい名石はまだまだあるが、最後に紹介するのは奇岩による石組。このように穴が空いた凸凹した石は、中国では重宝され太湖石と呼ばれるものが多く、中国・蘇州の世界遺産に登録されている庭園には数多く使われている。
仙石庭園の案内図(パンフレットより引用)
○ | 各地の名石が一同に集められ、石好きには堪らない庭園だろう。 |
× | 日本庭園としては若干大振りな造形である。 |