真光寺は約500年前に創建と伝わる曹洞宗の寺院である。境内には重森三玲に師事し実地を学び、日本庭園研究会会長も努める作庭家・吉河功(よしかわいさお) による4つの枯山水がある。全て平成に作庭され、最も新しいものが平成9年(1997)である。
日本庭園研究会会長も努める作庭家・吉河功による4つの枯山水を見学できる寺院にもかかわらず、日本庭園好きにも、まだ知られてない隠れた寺院である。まず山門をくぐると寿石庭(じゅせきてい)がお目見え。
本堂東側の広い敷地に手水鉢を含め23石の青石が組まれている。敷石によって4分割した区域にそれぞれ石組を設けている。
重森三玲に従事していたこともあり、意欲的に石を立てている。特に天を突くような刈り込み錦松により、立体的な枯山水となっている。
こちらは比較的低く組んでいる。
続いて書院に面した「巨鼇庭(きょごうてい)」。こちらは常時開放されているものではなく、住職に拝観許可を得て見学できる敷地である。当日は予約無しで訪問したが、快く見せていただき、また植栽整備のための脚立などを撮影のために片付けて頂く配慮があり有り難かった。中島は亀島となり、その奥に鶴石組がある。この亀島は蓬莱山を背負う大亀であり、神秘的な海中の主であるこの亀を「鼈(おおがめ)」と呼び、「巨鼇庭(きょごうてい)」と名付けれた。
鶴石組は7石で組まれた具象的なものであり、斜めに据えた立石は鶴首石となる。
亀と鶴は蓬莱山に見立てた枯滝石組へ向かう。そう、本庭園は蓬莱神仙思想に基づく蓬莱鶴亀庭園である。
橋の奥にある立石は鯉魚石のようにも見える。
続いて奥書院の永寿閭に面した中庭「妙高庭(みょうこうてい)」。こちらも住職による案内が必要な敷地にある。苔山に力強く立てた青石が屹立(きつりつ)しており、古代インドの宇宙観に世界の中心にそびえ立つ須弥山を意味している。
どの方向からみても破綻のない石組であるため、四方囲まれた中庭に造られている。また須弥山は別名「妙高山」とも呼ばれることから「妙高庭」と名付けられた。
続いて本堂南庭にある「羅漢庭(らかんてい)」。こちらは常時開放された区域にある。
羅漢庭で目を惹くのは長さ4mの巨石による石橋である。涅槃図を意図しているのか質問したが、そうではないとのこと。石は18石あり、16羅漢との関連性について伺うと、中国では18羅漢とのこと。なるほど、作庭家の吉河功は蘇州園林資料館名誉顧問でもあり、中国庭園にも知識が深くこのようになっているのだろう。
限られた空間に、これだけの豪華な石組が造られているのも珍しい。
近代庭園ながらも、古庭園の技法を守りつつ迫力ある庭園を公開している。今回丁寧に案内いただいた住職に改めて感謝したい。
○ | 重森三玲の手法を受け継ぐ吉河功による4つの枯山水を見学でき、どれも整備され力強く美しい。 |
× | 特に見当たらない。 |