将軍塚青龍殿は天台宗総本山・比叡山延暦寺の三門跡寺院のひとつである青蓮院の飛地境内である。境内には足立美術館の庭園を手掛けたことで知られる中根金作が昭和34年(1959)に作庭した枯山水があった。その後、北野天満宮前にあった平安道場の解体に伴って同建築物を青蓮院が譲り受け、平成26年(2014)に青龍殿と京都を見下ろせる大舞台が完成した。また当初あった中根金作による枯山水は、現在では新設された庭園内に再現されている。
有名作庭家である相阿弥(室町)と、小堀遠州(江戸)が作庭した庭園が見学できる青蓮院門跡の飛地境内となる将軍塚青龍殿。中世以降に将軍塚と呼ばれるようになった円墳が残され、京都市内中心部を見下ろせる絶景の地にある庭園。
庭園は平成になって作庭されたものである。
良質な苔の野筋に挟まれた飛石が心地よい。
余り類をみない石を配置している。
変わった意匠の蹲踞(つくばい)を見つける。水が流れ落ちる切石には櫛のような線が刻まれている。そして石灯籠は織部灯籠である。特徴として竿の部分にキリスト像が彫られており、この織部灯籠はキリスト像の顔以外が地中に埋められている。織部灯籠はキリシタン灯籠とも呼ばれ、江戸時代初期にキリスト教禁止令のなか密かに信仰を続けていた隠れキリシタンの信仰物といわれる石灯籠である。
庭園を新緑の生け垣で囲まれていることで、苑路を歩く人が遮られ、美しい光景を確保している。
自然美を意識した枯流れも良い。
ちょっとした枯滝石組もみられる。
東屋からの光景。当日は開門待ちして朝イチに訪問したこともあり、1時間の滞在期間中に見かけた参拝者は数人程度であった。
苑路を進むとクライマックスとなる枯山水で出合う。実は将軍塚青龍殿が完成するまでは、足立美術館の庭園を手掛けた中根金作が作庭した庭園があったが、大舞台の建築にあたって本庭園に再現されている。当時の写真を拝見したが、石組はかなり再現されている。
薄くて華奢な石橋を渡していることで全体を品良くまとめている。石橋の両端には形状の異なる橋添石を置くことで、この華奢な石橋に安定感を生み出している。
苑路から枯山水を眺める。訪問は11月15日であるが、まだ色づきまで1週間ほどあるタイミングであった。
境内の展望台から京都市内を見下ろす。春と秋には夜間ライトアップが行われ、特に紅葉シーズンには紅葉のライトアップと京都市内の夜景の競演がとても美しい。紅葉のライトアップはどこも混雑を極めますが、こちらはアクセスしにくいため比較的混雑を避けられます。車で京都を訪問している方には是非とも立ち寄ってみて欲しい寺院です。将軍塚青龍殿から夜の景色
展望台から庭園を見下ろす。ひとつの展望台から京都市内と庭園を見下ろせるなんとも贅沢な展望台である。
○ | 大舞台、西展望台から京都市内を一望できつつ、緑の美しい回遊式の枯山水庭園を楽しめる。車以外ではアクセスしにくいこともあり、桜や紅葉シーズンでも混雑を避けられるのも嬉しい。 |
× | 特に見当たらない。 |