しょうざんは、「ウールお召し」で財を成した松山政雄が資金を出し、造園中原の先代である中原正治によって作庭された庭園で昭和26年頃に完成。その後、ウエディング事業、飲食事業などを手掛ける「しょうざんリゾート」と成長していく。
「しょうざんリゾート」は、市バスでアプローチしやすいものの周辺には超高級ホテルのアマン京都しかないこともあり、京都市内でも穴場的な庭園である。秋には紅葉のライトアップもされているが、今回は年末に訪問。福徳門を潜ると、紀州青石の巨石を使った石組に圧倒される。
樹齢450年という古木を混えた北山杉の林の中を廻遊していく。
苑路と苔庭を仕切るものが無く開放感がある。苑路が広く、手入れが行き届かせているが故にできる意匠だろう。
寺院庭園ではなく観光庭園として作庭されたこともあり、古庭園の要素である三尊石や鶴亀石組といったものは見られない。しかしながら、このように築山を取り囲むような石組がみられたりする。(レタッチ処理で照明器具を消去)
昭和39年に大徳寺から移築してきた茶室「玉庵(ぎょうくあん)」にアプローチする石段がとても美しい。通常非公開であるが、公式サイトを確認すると「玉庵」で茶室体験できるプランもあるようだ。
苔の状態も良好。特に、流れの汀まで苔で覆われているのは、余り例をみないものだ。
池泉に注がれる流れも小さな段差でいくつも設けることで、静寂さと清涼感を生み出している。
苔付いた巨石は三尊石風の石組になっている。
こちらも汀まで苔で覆われている。
世界遺産「西芳寺(苔寺)」を彷彿されるような肉付いた苔庭。整備が行き届いているからこそ、この美しさを保持できるのだろう。
実際に酒樽として利用されていた樽を再利用して作られた「酒樽茶室」。京都西陣の豪商の山荘にあったものを、昭和37年に移築して保存している。実にユニークだ。
裏千家11世家元・玄々斎の設計による茶室「聴松庵(ちょうしんあん)」。大徳寺にあったものを明治に廃寺となり移築したものである。
枯流れに渡された石橋は、橋添石を設けたしっかりしたものだ。
庭園の書籍などで殆ど紹介されない「しょうざん庭園」は、京都の穴場庭園といって過言ではないだろう。無料駐車場も完備され、お手軽なランチが頂けるレストランも敷地内にあるため、ランチがてら訪問してみるのも良いだろう。
○ | 良質の苔庭や苔山に紀州青石による巨石が美しい。紅葉のライトアップを実施している庭園はどこも混雑しているが、しょうざん庭園は比較的ゆったりと楽しめる穴場ではないだろうか。 |
× | 特に見当たらない。 |