太融寺は平安時代(821)に弘法大使によって開基したと伝わる高野山真言宗の寺院である。平成18年(2006)に本坊の建て替えに伴って、本堂前に九山八海庭が作庭された。令和2年(2020)には創建1200年を記念して八角堂を建立し、八角堂前にも枯山水が整備された。
梅田より徒歩15分で枯山水を見られる寺院がある。平成と令和に作庭された近代庭園があり、まずは平成に作庭された九山八海庭をみていく。九山八海(くせんはっかい)とは、古代インドの宇宙観に世界の中心にそびえ立つという巨大な須弥山があり、その須弥山を囲む九つの山と八つの海を表現している。要は仏が住する清らかな世界・浄土の意味を強調している。須弥山は写真左手の立石だろうか。
別角度から撮影すると、須弥山と推測した立石に向かって進む舟石がみえる。
塀に沿った敷地には三尊石風に石が組まれている。
続いて令和になって建立した八角堂前に造られた枯山水。ここでは独創的な亀島に魅了される。
亀島は写実的であることが大半であるが、これほど写実的な亀島は希有である。亀甲石は巨石を使うことが大半であるが、こちらでは築山に延石の様に貼り付けてある。
亀島と対峙するように配された島は、おそらく鶴島だろう。意欲的な石組で重森三玲を彷彿させるものがある。
苔島に切石橋を低く架けている。
こちらは風合いからして九山八海庭と同時期に作庭されたものだろ。山から舟石へと水が流れ落ちるようになっている。
梅田駅より地下道を使ってM14出口まで徒歩12分、地上に出て3分で到着できる太融寺。実は太融寺の周辺はホテル街であり、聖俗入り乱れた空間にあることも、また一興。
○ | 都会の喧噪のなかで枯山水を楽しめ、他に例をみない写実的な亀島が興味深い。 |
× | 特に見当たらない。 |