加賀藩主・前田利常の正室であった玉姫を弔うために江戸初期に創建された曹洞宗の寺院である。庭園は昭和に作庭され「黙照禅庭(もくしょうぜんてい)」と呼ばれる。黙照禅とは何も求めずにただ坐禅をすることであり、曹洞宗の神髄でもある。
兼六園の「小立野口」から徒歩20分のところにある天徳院。数多くの庭園が残る金沢でも、枯山水は平成に作庭された寺町鐘声園と、天徳院のみである。
抹茶席を利用することで枯山水を見学できる。ただお抹茶席から庭園を観賞することは厳しく、抹茶を楽しんだあと庭園を散策してみることに。
左が抹茶席のある書院となっている。白砂敷きの大海を横断するような大胆な飛石に目を奪われる。また州浜の様な石は表面の形状から溶岩石と思われる。
苔で覆われた野筋には、六方石だろうか?柱状の石で護岸石組のような意匠が見られる。六方石とは溶岩が冷却し収縮する過程で生じたものである。
石橋の先には何段にも落とされた枯滝石組を作っている。ただ、あまりの木々の多さで全体像がつかめない。写真中央右手が枯滝石組の最後の1段である。近づいて撮影してみると、、、
このようになっており、水を左右に分ける水分石を配している。
この枯池にも大胆に飛石が横断している。作庭家の意図は知るよしはないが、自然のなかに一体化して庭園を体感するというものだと想像してみる。また飛石の右手は六方石、左手は溶岩石を使った洲浜となっている。
飛石の先には三尊石。
最上段の滝石組。左右の滝添石の高さを変え、全体として安定感のあるものだ。
ただ下部は木々により覆われ、また詳細が分からない。
滝中程には石橋を架けているが、こちらも木々で覆われている。せめて滝石組周辺の木々は除去して欲しいと感じた。
枯池の北部まで枯流れとなっており、さらにその先には枯池を設けている。
○ | 枯池の中央を横断していく大胆な構図の飛石は、まるで庭園と一体化した体験ができる。 |
× | 木々に覆われており枯滝石組の大半が隠れてしまい残念。 |