東林寺は室町時代(1522)に創建した浄土宗の寺院である。庭園もほぼ同時期で室町時代末期とされる。昭和49年(1974)に市指定名勝を受ける。
事前電話を行い訪問した東林寺庭園。法事の時は説明対応は頂けないが、庭園自体は自由見学できるようになっている。近年、枯滝石組周辺の植栽を伐採したことにより、石組がよく分かるようになっていた。
かつては池泉庭園であったが、現在は涸れており、虎伏山を借景とする枯山水になっている。池泉の石組がしっかりと残っているが、文献によると構成に改修されたものとのこと。
阿波学会研究紀要論文によると、三段落としの龍門瀑形式と記されている。龍門瀑とは、ひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したものであり、その始まりは京都の天龍寺 曹源池庭園とされる。ただ東林寺庭園では、一部崩れていたり、改変されており雑然としている。
龍門瀑形式の枯滝石組を正面から撮影。
まずは枯滝石組の上段。頂部は山並みを表現するような石を建てており、美しさが残っている。
枯滝石組の中段を撮影するが一部が崩れている。龍門瀑には鯉が滝登りしているような石を備えていのが定石である。画面中央の石が鯉魚石なのだろうか、文献などを読むがはっきりとは分からなかった。
枯滝石組の下部は、比較的改変を受けていないように見受けられる。
石組が一部改変されているとのことだが、それでも力強く見事な枯滝石組だ。
中島は亀島となっており、お寺の方に伺うと、かつては水が張られていたとのこと。亀島には石橋を架け4ヶ所に橋添石が置かれている。
石橋の奥には亀頭石(画面中央)がみえる。
護岸石組は力強く、明らかに江戸時代以前の力強さを感じさせてくれる。ちなみに美馬市公式サイトには「池の部分は鶴島・亀島を配し」と記載があるが、池泉には中島は1つのみで鶴島は見当たらない。もしかしたら写真左手の出島が鶴出島だろうか。
事前に訪問予約を行ったため丁寧に解説いただいたが、予約なしでも見学は自由にできるようだ。
○ | 一部改変されてはいるが、3段落としの龍門瀑を観賞できる。 |
× | 特に見当たらない。 |