養東院
ようとういん
真言宗の養東院は23代続く古刹。庭園は重森三玲の最後の弟子・岩本俊男によって平成元年(1989)に作庭されたものである。
岡山市と吉備中央町の市境にある養東院。分かりにくい場所にあり、このような地に重森三玲の弟子によって作庭された庭園があることは知られていない。
枯山水の景の中心となるのが、天を突くような立石である。住職のご説明によるとお釈迦様の手を表現した「片手釈迦」とのこと。つまりこの築山は蓬莱山であり、蓬莱式枯山水庭園であることがわかる。
階段途中から枯山水を望む。塀の奥には岡山市北部の山並みが広がり、見事な借景にノックアウト。この日は重森三玲のふるさと吉備中央町で多くの庭園を訪問したが、こちらの庭園が最も印象に残った。
庭園東部にも築山が造られ、舟石を据えている。
この舟石は白砂で表現した苦海を航海して、お釈迦様のいる蓬莱山へ向かう様子をイメージしているのである。
舟石と片手釈迦との位置関係はこのようになっている。そして、季節柄もみじの落ち葉が苔山に彩りを添え美しさが際だっている。
事前に電話で訪問確認を行い拝観させていただいたが、住職共々親切な方ばかりで、気持ちよい朝を迎えさせていただきました。帰りには銀杏のお土産まで。ありがとうございました。
○ | 雄大な山並みを借景とした素晴らしいロケーションに、シンプルながら表現力のある枯山水は素晴らしい。借景は南側になるため、逆光になることが多いため曇り空の日や夕方前に訪れるのもいいだろう。 |
× | 特に見当たらないが、アクセス路は舗装されているものの狭い区間があるため注意が必要。(レクサスHS250hでも通行可能) |