阿波十郎兵衛屋敷 鶴亀の庭
あわじゅうろべえやしき つるかめのにわ
人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」で知られる板東十郎兵衛の屋敷跡。敷地内には約400年前の江戸・元禄時代(1700年頃)に作庭された鶴亀の庭がある。
「阿波人形浄瑠璃」を毎日上演している阿波十郎兵衛屋敷には、青石と黒松が配置されたコンパクトな池泉庭園「鶴亀の庭」がある。ある程度庭園を巡ってくると、中島は亀に見立てた亀島、亀島に植樹された黒松が鶴となる鶴亀島と推測できるようになる。同様の意匠では、名古屋の徳川園がある。ただ、この庭にはさらなる秘密が隠れていた、、、
なんと、鶴と亀が対になったものが仲良く2つ配置されているのだ。中島には雌(メス)の亀石と、その亀の背中に植樹された黒松が鶴となっている。松を鶴として抽象的に見立てるのは、松は長寿のシンボルであり、また鶴が羽を広げた様子に似ているとされるからである。
近づいて撮影すると、赤マーカーの雌亀は少々分かりにくい。そして、池泉の外側の護岸石組のひとつが雄亀(青マーカー)になっている。出島を活かした亀石組だろう。出島形式の亀石組としては、山梨県の大善寺がある。
雌亀と、雌鶴の幹を撮影。
角度を変えて中島を撮影すると、青マーカーの雄鶴は中島ではなく、外側に植樹されている。つまり池泉外側に雄の鶴亀、中島に雌の鶴亀という構図だ。
青石による段違いの石橋、護岸石組には青石を立て美しい光景をみせてくれる。
角度を変えて撮影。推測であるが、おそらく1枚の青石を切断して、敢えて段違いにすることで景に変化を与えているのではないだろうか。
鶴亀の庭の全景。
樹齢200年の松がそびえ立つ。施設の方に伺うと、徳島では3つの鶴亀庭があったが、現存するのがここだけとのこと。
○ | 中島と池泉外側にそれぞれ鶴亀が存在する極めて希有な鶴亀庭園である。また、このことが近くに写真付きで解説されているので理解しやすい。 |
× | 特に見当たらない。 |