竹林寺は奈良時代(724)に行基によって開山されたと伝わる真言宗智山派の寺院である。中国の山西省にある五台山になぞらえて造られたことから、竹林寺のある山は「五台山」と名付けられた。庭園は鎌倉時代に吸江寺(吸江庵)を開基した夢窓疎石によって作庭されたと伝わる。平成16年(2004)に国指定名勝を受ける。
高知県唯一の国指定名勝庭園である竹林寺。まずは竹林寺庭園のメインとなる客殿西庭の額縁庭園から。勤労感謝の祝日に訪問したが、直前まで豪雨ということもあり人出は少なく撮影には好都合だった。
日本庭園史体系(著:重森三玲)やお寺の音声解説を頼りに理解を深めていく。山畔と客殿の間に池泉を作る鶴亀庭園となっている。鶴亀が分かりにくいので、音声解説を元に図解してみる。
石橋を亀の頭に見立てた亀頭石として、築山全体が亀の甲としている。そして鶴石組は出島から井戸のあたりと解説されているが、鶴石組はその様子が分からない。鶴石組の出島は元々は中島であったが、延宝火災後に出島となった解説があり、その影響で改修され鶴石組は改修されてしまったのでだろうか。
客殿西庭の見どころは亀頭石を兼ねた石橋だろう。石橋周辺の石組も風合いが良いが、やや丸みを帯びた石が多く、柔らかさを感じさせるものである。
自然石による石橋は無骨であるが、豪壮で力強い。
客殿の縁側に沿って直線状の二段敷石を造っている。日本庭園史体系によると「池庭に対する浜の表現で、江戸末期の客殿再建後の改造によるもの」とされている。直線状の護岸石組はよく見られ、多くは客殿や書院拡張に伴い池泉を改修する必要があったもので、竹林寺も同様である。
音声解説では直線状の護岸石組であるがため客殿から眺めると、まるで池泉に浮いているような浮遊感を味わえると説明していた。また池泉中央に沈む石は「浮き石」とされる。そして、築山右手から枯滝石組が造られている。別角度からも撮影したが、見るべき要素が少なかったため写真掲載は見送った。
続いて客殿北庭の額縁庭園へ。こちらは蓬莱庭園となっている。
左側が枯山水のような巨石の石庭となり、右手奥に池泉を配している。
飛び石の先には、客殿西庭の石橋と対照的な薄くて華奢な石橋。どちらも美しいものであるが、私は薄い方が品格があって好きである。
池泉には枯滝石組を造っている。急勾配な石組で、紅葉と合わさって美しさに磨きがかかる。
中庭も美しく整備されていた。
客殿南庭は枯山水。豪雨の後ということもあり、苔も活き活きしていた。
竹林寺の参道。ローカルテレビの収録にあたってライティングが整備されていた。偶然にもこのような光景に出会えて良かった。竹林寺は青源寺、乗台寺と並ぶ土佐三名園(高知三大名園)と称されている。
○ | 客殿から4つの庭園を巡れ、どれも趣向が異なっており飽きさせない。特に夢窓疎石によって作庭されてと伝わる西庭、北庭を組み合わせると鶴亀蓬莱庭園となるのが良い。 |
× | 特に見当たらない。 |