長府庭園
ちょうふていえん
長府庭園は、長府藩の家老・西運長(にしゆきなが)の屋敷跡であり、平成5年(1933)に一般公開された池泉回遊式庭園である。
長府エリアには複数の庭園が残されているが、最も広大な庭園が長府庭園である。いわゆる大名庭園であり、まずは書院から庭園を見学したい。
毛氈が敷かれた書院からは池泉を望める。池泉には孫文が贈った4粒の蓮の実のうち、ひとつが発芽して今も7月上旬から下旬にかけて開花している。ちなみに7月の特定日は早朝の開花に合わせて朝5時に開園している。
中島に反り橋が架かり、池泉沿いの苑路を散策しながら変わりゆく光景を楽しめる。
書院を望む。
中島東部にも切石の反り橋が2連で架けられている。そのなかで気になったのが、反り橋右手にある灯籠だ。
日本庭園で数多くの石灯籠を観賞してきたが、初めて見るタイプである。そして、驚きなのが別角度から撮影した次の1枚だ。
正面からは分からなかったが、このようなバランスを敢えて崩した2階建てになっている。石の風格から近年のものだが、この意匠はユニークで実に面白い。
池泉に流れ込む「流れ」に沿って上流へ散策してみると、
滝石組に行き当たる。
近づいてみると、二筋の水が向かい合って落ちていく「向かい落ちの滝」に似た形式になっている。
巨石による石灯籠は、竿となる部分の石に亀裂が入っている。推測の域をでないが、巨石を運ぶために分割して運んだのだろうか。ちなみにこういった運搬で運ばれた巨石の代表例としては、岡山後楽園の大立石がある。
力強い飛石と沢飛石で回遊導線が設計されていて、書院からの眺めが最も良い感じた。
○ | 広大な敷地をもつ大名庭園では、書院からの景色にマンションやビルなどが映り込むことが多いが、本庭園ではそのようなことはなく、気持ちよく庭園を観賞できる。 |
× | 石組には古庭園を感じさせる特徴が少ない。 |