大仙公園は昭和60年から4年の歳月をかけて整備され平成元年に開園。公園内の日本庭園は、昭和63年(1988)に足立美術館の庭園を作庭した中根金作により設計された。
足立美術館を作庭したことで知られる中根金作(なかねきんさく)の作品が、大阪では唯一の施設が大仙公園の日本庭園である。広大な敷地に南北に300m以上程伸びる池泉と遣り水を中心とした「築山林泉回遊式庭園」となっている。
休憩舎から正面に見える築山が「廬山(ろざん)」。中国江西省にある名山「廬山」に由来する。築山は背の低い竹「オカメザサ」で覆うことで山肌を表現。その手前に中島を配している。
廬山の北部には豪快な滝石組「飛流瀑(ひりゅうばく)」が組まれている。滝石組には青石による石橋か架けられ、手前には岩島。どことなく天龍寺 曹源池庭園(京都)を意識した意匠になっているように感じる。
滝石組「飛流瀑」は、何段にも落とされた滝石組であり、滝上部には遠山を抽象的に表現した遠山石(えんざんせき)らしき石を据えている。
休憩舎は池泉の上に立てられている。この休憩舎は、鎌倉時代後期に堺の豪商たちが会合等に利用した集会所を想定して造られたとのこと。
池泉北部には、亀島にも鶴島にもみえる中島がある。
休憩舎から正面にみえる中島。中島の周辺にある岩島により中島自体の存在感を高めている。
中島を挟み平橋と太鼓橋が架けられている。称名寺(横浜)にみられる浄土式庭園を意識したかのような意匠である。
池泉の南部は遣り水となっており案内板によると「石津渓(いしづけい)」と名付けられている。また水際に丸石が敷き詰めることで、水を美しく魅せる技法である「洲浜(すはま)」がみられる。
護岸石組は巨石により組まれダイナミックさを感じる。
平橋と反り橋が架かる中島の手前には、蓬莱山を思わせるような巨石を配している。
休憩舎は室内も利用できる。
外廊下からは、庭園の中心部をほぼ一望できるベストビューポイントである。当初の想像よりも見所のある日本庭園であり、初夏には花菖蒲も楽しめるなど、季節によって彩りを楽しめるため、時期を変えて再訪してみたいと思った。
大仙公園 日本庭園案内板 [ 案内図を拡大する ]
○ | 広大な池泉回遊式庭園は単調になりがちだが、歩を進める度に変わりゆく景観に感銘を受ける。 |
× | 特に見あたらない。 |