臨済宗大徳寺派の大本山である大徳寺。その塔頭寺院(たっちゅうじいん)のなかでも別格地とされる大仙院。創建は室町時代であり枯山水を代表する名園のひとつである。代表的な書院庭園の作庭家は不明であるが、書院中庭(写真なし)は中根金作によるものである。
枯山水の代表策である大仙院書院庭園。境内は撮影禁止のため別途購入したパンフレットにて紹介していく。枯山水の主景となる枯滝石組。遠近法を利用して立体の水墨山水画をみているような感覚に陥る。僅か30坪程度だが、実に濃密な庭園である。
枯滝石組を詳しくみてみる。
滝壺の音を目で読み取って欲しいと枯滝石組の左に観音石(B)、その左に「この世に生を受けたことの尊さは不変であり、微動だにしないと」という意味をもつ不動石(A)を配している。滝は石橋をくぐり、3つの石(D)が配置されているが、これは水飛沫(しぶき)を表現。そして(C)のエリアは鶴島であり、(C)はその羽石を見立てている。
鶴島はこのようになっている。左の石が先ほど羽石、中央手前が鶴尾石、右の石が再び羽石、五葉松の幹左側にある横に寝かせた小さな石が鶴首石となる。パンフレットと書籍により石の役割を理解したが、このような知識がないと鶴島と分からないだろう。
滝からの流れは、花頭窓(かとうまど)の下に造られた横長の「堰(せき)」を通過して、川はいよいよ大河となる。その場所には舟石(宝船)が据えられている。この舟石は今にも動き出しそうなまさしく名石である。他にも大仙院には亀島、白砂敷きの枯山水などあるが、実際に大仙院に出向き、写真では伝わらない本物を味わって欲しい。
Facebookグループの「日本庭園」を管理されている大島 泰弘様より、昭和40年頃に撮影された貴重なお写真を提供いただきました。当時はまだ撮影規制はなく、パンフレットには無いアングルでの枯山水を紹介でき嬉しい限りです。ご提供ありがとうございました。
○ | 30坪の小さな庭園に枯山水の全てが詰まっていると考えていい。使われている全ての石が名石であり、間違いなく枯山水の名園である。寺院で販売している写真集的なパンフレット(全46ページ。500円)には、詳細な解説が記載されており、こちらを購入して石の解説を見ながら理解を深めたい。 |
× | 撮影ができないのは誠に残念。 |