恵日寺庭園
えにちじていえん
恵日寺は安土桃山時代初期(1599)に創建されたと伝わる高野山真言宗の寺院である。本庭園は江戸初期に住職によって作庭されたと伝わり、昭和47年に県指定文化財に登録される。
本堂北側に行者山の山裾を利用して造られた池泉観賞式庭園であるが、地図で見ても行者山が見つからない。山頂には「恵日寺奥の院」があるため、裏山を御神体としていることは間違いないだろう。
さて、恵日寺庭園は本堂に沿って東西に穿った池泉を設けている。現在では涸れているが、行者山からの山水によって滝石組に水が流れていたのだろう。
主景となる滝石組を中心とした一枚。植栽が多く分かりにくいため次に図解する。
恵日寺庭園を図解。まず中央に枯滝石組。滝頂部には遠山石を立てている。滝石組の左右には亀出島と鶴出島を造り、この撮影場所からは刈り込みにより見えないが、三尊石組も置かれている。
枯滝石組の頂部に遠山石を据えて、滝の左右に鶴・亀を造っているのは、淡路市最古の庭園といわれる妙勝寺と共通点があり、類似している。
亀出島、鶴出島は解説がないと気づかないレベルだろう。
三尊石組は低く組まれており、連山をイメージしているようにもみえる。
池泉西部の石組。
蘇鉄を植樹した石組は「長寿の亀」と表示されている。なるほど石組が亀になっているということだ。
○ | 小規模ながらも複数の石を積み上げて組まれた枯滝石組と、遠山石により力強さを感じる。 |
× | 滝石組周辺の植栽が多すぎて、石組が隠れてしまっているのが残念。 |