越後随一の大地主・伊藤家。明治には414万坪(東京ドーム約300個分)の田畑を所有し、昭和期には県下一となる。戦後、農地解放により伊藤家の所有から離れたが、伊藤家の本邸(8,000坪)は、財団法人・北方文化博物館に遺構保存として寄付された。平成12年には国の登録有形文化財に登録される。
新潟県で外せない庭園のひとつが北方文化博物館。古民家やそば処や土産物屋などもある観光施設の要素も持つが、明治時代に造られた建造物で歴史を感じさせる。特に越後随一の大地主・伊藤家 本邸の大広間から眺める額縁庭園は圧巻。
朱色の毛氈(もうせん)が幅広な2枚敷きなっている。毛氈:フェルト生地
滝石組も外せない見所。2段落ち滝には石橋が架けられており、1段目の滝の両側には立石が堂々と座っている。近づいて眺めてみたいものだが、庭園は立ち入れないので、双眼鏡などがあるといいだろうか。写真は焦点距離70mm(35mm換算)のレンズで撮影している。
庭園正面。池泉回遊式庭園には中島があり、大広間から茶室へと繋がる散策路が設けられている。
大広間の裏手には中庭が設けられている。比較的大きな石で川の流れを表現しているのが面白い。広義には枯山水に分類されるだろう。
中庭の枯山水に掛けられた石橋をクローズアップ。
大広間隣にある角部屋からの眺め。2方向に額縁庭園が愉しめる「W額縁庭園」である。
主屋から中庭越しに大広間を眺める。三台の椅子が設けられているのが分かる。ここが、北方文化博物館最大の観賞ポイントであることが分かる。私は週末に訪問したが、閉館1時間前ということもあり、観光客はまばらで静寂な空間で庭園観賞できた。
大広間を超広角レンズ(18mm)で捕らえる。これほど広い大広間で額縁庭園は、全国的にも数少ないと思われる。
中庭の全景。池泉庭園と枯山水に囲まれた大広間。なんとも贅沢な空間だ。
庭園に見とれていると、閉園時間(30分前)が迫り、係の方が雨戸を閉め始めた。この作業が豪快で、勢いよく雨戸を左から右へスライドさせる。26枚もの雨戸が閉まっていく様子は面白く、閉園近い時間に訪れるのもお薦めかも。
雨戸が全て閉まった様子。屋敷には観光客は誰もいなく、これは貴重な眺めかもしれない。
ということで、角部屋の雨戸が閉まった様子も撮影。
雨戸越しに池泉庭園を眺める。雨戸の多さがよく分かる。
○ | 新潟市の庭園では最高峰。新潟県でもトップ3に入る美しき庭園。大広間に用意された椅子に座って、ゆったりとした時の流れを感じたい。 |
× | 茶室や滝石組などは庭園を散策しないとよく見えず、庭園内を散策できないのは残念である。 |