出雲中央図書館 福寿園
いずもちゅうおうとしょかん ふくじゅえん
出雲中央図書館に隣接した庭園「福寿園」は、もともと島根県立中央病院にあった庭であり、昭和59年(1984)に現在地に移築している。役所に確認すると当初のままの移築されているかは定かではないが、移築後に重森完途によって現在の姿になっている。
森重森三玲の長男である完途によって作庭された庭園。園内に立ち入ることはできないが、木々の隙間から枯山水を垣間見れる。赤い屋根が特徴的な図書館と庭園の緑がマッチしている。
枯山水には青石が使われ、雨上がりということもあり、岩肌が艶やかで美しい。
芝生の野筋による曲線で流れを造り、穏やかな枯山水となっている。
図書館に入館して館内から福寿園を眺める。図書館から観賞できる日本庭園としては日本最高峰だと思われる。
主石となる三尊石は出雲大社を望む方向に配している。
重森三玲の作風を受け継いだ完途だけに、積極的に石を立てた意欲的な石組である。
出島を挟み2本の石橋を渡している。
石橋の四隅には橋添石とよばれる役石がある。この石がないと石橋が固定されていたとしても、浮いたような感じに見えてしまうことがある。一方、橋添石があることで橋に安定感が生まれる。ちなみに室町時代には橋添石が低い石が一石、二石であることが多く、桃山期にはやや高い立石が三石となっていることが多い。もちろん橋添石のない石橋も多く存在する。
大刈り込みと石組が融合した意匠は、重森三玲の遺作となった京都の松尾大社にある「曲水の庭」でもみられる。
緩やかな起伏を描く芝庭と曲線美による枯流れ。
基本的には館内から眺める枯山水であるが、外周だけでも散策できる苑路があれば、庭園もより楽しめつつ、読書の休憩がてらの散歩コースにもなり良いだろうなと感じた。
○ | 穏やかで優しさを感じるような枯山水に、主石となる巨石による三尊石によって全体を引き締められ見事に図書館に融合している。 |
× | 特に見当たらない。 |