室町初期(1387)に創建。現在地には江戸初期(1628)に移転して実相寺(實相寺)と改められた。庭園もこの時代に作庭された。
平成6年(1944)に剪定管理時に、地中に石組などの発見により明らかになった古庭園。築山式枯山水であり、鑑賞地点にボタンを押すと庭園解説が流れる仕組みがあり、庭園の秘密を細かく解説してくれる。
観音堂から正面を眺めると築山がみえる。この築山は三連式で、近隣にある龍潭寺と似ている。
築山には集団石組がみられるが、実に様々の要素が詰まっている。図解してみると
Aは遠山を抽象的に表現した遠山石(えんざんせき)。Bは枯滝石組であり、そのなかに三尊石(C)を作っている。三尊石の中心は御庭の本尊様を表している。巨石のDは龍門瀑、Eは鯉魚石と説明されている。鯉魚石とは鯉が滝を登るようすを表現した石である。もちろん鯉が滝を登るようなことはできないが、ひたすら修行を繰り返すという禅の理念を石組で表したのを「龍門瀑(りゅうもんばく)」と呼ぶ。Fは不老不死の仙人が住むとされる蓬莱山に見立てている。
枯滝石組、龍門瀑、鯉魚石、蓬莱山を別角度から眺める。この鯉魚石は説明を受けないとなかなか理解できなものである。
写真左よりの上部が白い立石は、中央の寺院の山門にある仁王様を表した仁王石。後ほど説明するが、反対側にもう一石の仁王石がある。また、庭園東部には出島が白砂で見立てた大海にせり出すように作られている。写真右の巨石は鶴の羽に見立てた羽石である。先ほどの仁王石とあわせて折り鶴となっているとのこと。
本堂から眺めると、今度は出島を中心とした平庭式庭園が広がる。こちらを図解すると、、、
左手が羽石を中心とした鶴石組、右手が亀石組であり、亀石組の奥にある立石は蓬莱山に見立てており蓬莱石組を兼ねている。
先ほどの蓬莱石組を兼ねた亀石組を別角度から眺める。
築山と鶴亀島の間を仕切るかのように2石の仁王石(AとB)を配置している。そして全体を俯瞰できるロケーションに礼拝石(C)を据えている。
本堂南庭には池泉庭園が造られている、豪快な護岸石組で、中島には三尊石風の石組がみられる。
実相寺は高台にあるため、このような風景も楽しめる。それにしても、様々要素が詰まった庭園で、日本庭園を学ぶ上で訪れたいスポットのひとつといえるでしょう。
○ | 古庭園の様々な要素が詰まっており、これをスピーカーでの解説があり庭園理解に役立つ。また、観音堂からと本堂からで異なる形式の庭園が楽しめる。 |
× | 特に見当たらない。 |