鎌倉後期(1300)に宗の国から帰化した僧侶・一山一寧(いっさん いちねい)により開山。開山以降、鎌倉五山、京都五山の住職を歴任する高僧の住職が続き、五山の列に入るといわれた寺格を有した。本堂裏の池泉庭園の作庭家は定かになっていないが、現在の様式になったのは明治30年(1837)。枯山水は帰錫庭(きしゃくてい)と呼ばれ京都の造園会社・植音によって築庭。書院庭園は、岡谷市の作庭家・小口基實(おぐちもとみ)による。開山:初代住職
諏訪エリアで6ヶ所の庭園を巡り、私が最も感動したのが今回紹介する慈雲寺である。ローケーションは諏訪大社 下社春宮の近くにあり、枯山水と池泉庭園を楽しめる古刹。慈雲寺の1つめの山門をくぐると大木が並ぶ参道、100mほど歩くと2つめの山門に到着。山門の奥には樹齢400年を越える赤松の一種である天桂松(てんけいまつ)が顔を覗かせる。
本堂正面に立派な枯山水がありm帰錫庭(きしゃくてい)と名付けられている。10個の巨石があり、それぞれの石にはお釈迦様の修行から帰ってくるお弟子達(十大弟子)の様子を見立てられ「釈迦十大弟子の庭」とも呼ばれる。最後の写真には、石配置図を掲載しています。
まずは、本堂の外廊下をぐるっと散策して枯山水を少し高い視点から眺めていく。
巨石の迫力あること。巨石の周りのグリーンは大白髪苔(オオシラガゴケ)だろうか。深緑色の差し色がとても美しい。また砂紋が、庭園巡りを初めて1年間でみたことがない模様である。なにか意味があるのだろうか。
本堂と開山堂を繋ぐ渡り廊下を挟んで両側に枯山水がある。ひときわ背が高い巨石は阿難陀尊者(あなんだ)である。
左奥には樹齢400年を越える赤松の一種である天桂松(てんけいまつ)。この距離感でこの大きさに驚く。
本堂裏の池泉庭園へ向かう。
枯山水には規模は小さいが布落ちの滝がみられる。
全体的に湾曲を描く飛び石は、「大曲り」の打ち方であろうか。飛び石と苔と砂利の配置が気持ちイイ。
茶室へと繋がる飛び石。この先は見学できないが、この小さな空間もしっかり整備されている。また、飛び石の先には行き止まりを示す球体の石が置いてあるのに気づく。これは「止め石」や「関守石」と呼ばれる。庭園にはよく見られる行き止まりのサインであるが、よく考えられた意匠であると思う。
最後に岡谷市の作庭家による書院庭園。飛石から石橋で繋がり、3ヶ所の橋添石が橋に安定感を生み出しており美しい。
慈雲寺を去る直前に見つけた光景。望遠レンズで撮影してトリミング。偶然の産物であろうか、新緑で縁取られた様子が見事である。
慈雲寺の二種類のパンフレットから引用。 [ 案内図を拡大する ]
○ | 枯山水と池泉庭園を両方楽しめる。特に10個の巨石がある枯山水「帰錫庭(きしゃくてい)」は迫力あり、諏訪を訪れたら必ず寄りたい名園である。 |
× | 特に見当たらない。 |