観正寺
かんしょうじ
観正寺は室町時代に創建した臨済宗南禅寺派の寺院と伝わる。江戸前期に再興され、江戸末期(1807)には寺院整備の一環で、庭師・岩崎清光(きよみ)によって枯山水が作庭された。平成27年(2015)に県指定名勝を受ける。
城崎温泉駅から車で12分ほどの距離にある観正寺。本堂南庭には滋賀長浜市出身の庭師・岩崎清光によって作庭した枯山水が残されており、事前連絡により見学させていただいた。
本庭園を予約して訪問するような方であれば、この写真だけで見どころが分かるだろう。「ひょうごの庭園(著:西 桂)」の文献を参考にして次の写真で図解していく。
本庭園は庫裏書院の裏山の斜面を利用した築山式枯山水庭園であり、斜面部分には二対の枯滝石組を設けている。右手の枯滝石組は4段落としで下部で二対の滝が合流している。築山頂部には遠山石、その左には蓬莱石を据えている。
角度を架けて4段落としの枯滝石組を撮影。書院から鑑賞すると平面的な枯滝石組に見えるが、実は立体的な意匠になっている。
全体的には上が平たい平天石が多いが、要所に立石で引き立てている。
斜面部分に大部分の石組を構成するのは、庭師・岩崎清光の庭作りの特徴でもあり、護念寺(兵庫県朝来市)でも同じような設計になっている。
写真の手前には飛石を内、逆三角形の平天石は礼拝石となる。
庫裏書院より額縁庭園を撮影。ちなみに平成27年に県指定名勝を受け見学会が市民に向けて実施されたが、庭園に関しての知見のない方が多く「え?これだけ」という感想で住職は残念な思いをしたという話を伺った。こちらのお庭は事前知識なしで見学すると理解が難しいが、見学寺には庭園の解説を記したパンフレットをいただいたので理解しやすかった。
○ | 江戸末期ながら石組本位の枯山水。また単調にみえる石組ながらも、大きく蛇行して飛石を打つことで庭園に豊かさを生み出している。 |
× | 特に見当たらない。 |