酒・醤油醸造業、製糸業で財を成した小川家の6代目・貞一の邸宅庭園であり、昭和4年(1929)に完成。神戸の庭師である巽 武之助((たつみ たけのすけ))によって作庭された「環翠園」は、令和3年(2021)に国登録記念物・鳥取県指定名勝を受け、同時に一般公開されることになった。
2021年に一般公開が開始された小川氏庭園「環翠園」。環翠園は茶亭「南山荘」を取り囲む池泉をもつ地割りである。中島は亀島となっており、左側の巨石が亀頭石となる。
この亀頭石が環翠園の主石となっている。中島の奥にみえる護岸石組に注目して見ると、
このように苔付いた石で構成されている。風合い良く力強い護岸石組は、環翠園での見どころのひとつだと感じた。
環翠園南部には滝石組を設けている。複雑な形状をしており、築山から徐々に流水していく。また滝を横切るように沢飛石を設けていることで、まるで曲水のような意匠にも見えてくる。
滝上部を撮影すると、水落石を確認でき、水が水落石から離れて落ちる「離れ落ちの形式」となっている。
南山荘に併設する茶室「楽水庵」。南山荘は松江市の国重要文化財「菅田庵」の写しであり、松江藩主であった松平治郷によって設計されたと伝わる。
一般公開に向けた大規模工事において復元された腰掛待合。腰掛待合とは茶会に招かれた客人が主人の迎えを待つ場所である。
奥深い竹藪を表す「幽篁(ゆうこう)」より名付けられた幽篁亭(ゆうこうてい)。
茶室「楽水庵」の内部。
水源は環翠園のすぐ東側を流れている鉢屋川の流れを直引水している。そして環翠園にはいくつもの延段があるのも特徴である。
南山荘の東部の苑路。
五重塔近くの延段。
最後に東門に続く延段。事前予約制ではあるが、空きがあれば当日見学も可能である。また1日5枠制でありガイド付きのため、少し早めに到着しておく必要がある。公式サイトには2週間前の予約となっているが、この一文は南山荘の貸し切り予約などのことを意味している。
環翠園 案内図 [ 案内図を拡大する ]
○ | 100坪の敷地に多数の苑路を設けており、広さ以上の空間を感じることができる。池泉庭園と露地の両方を楽しむことができ、見どころがぎゅっと詰まった庭園だ。 |
× | 特に見当たらない。 |