川越城本丸御殿は江戸後期(1848)に建築。現存する本丸御殿大広間は川越城と高知城のみである。2008年から2011年に掛けて保存修理工事が行われた。庭園は市制70周年を迎えるにあたり、平成2年(1990)頃から歴史的景観を整備し、公開施設としてふさわしい環境とするため、平成8年(1996)にかけて整備されたものである。
川越では、喜多院(川越大師)曲水の庭に次ぐ古庭園とされる川越城本丸御殿の枯山水。家老詰所の縁側から延段と飛石が印象的な庭園を観賞できる。
飛石の先には白砂敷き枯山水が造られているが、やや単調な意匠である。
一方、自然石風にタイル張りされた2本の延段と、飛石の様子が面白い。通常、このような庭であると土の部分は芝で覆われていることが多いが、敢えて土を露出させている。これにより延段と飛石を主役に引き立てているのだろうか。
週末の16時頃に訪問したが縁側には多くの人が集まっていた。わずかなタイミングを狙い額縁庭園を撮影。
川越城本丸御殿で最も美しい庭園が、家老詰所横の中庭にある枯山水だ。左奥にある庭園が先ほど紹介した庭となる。こちらの枯山水は広くは空間ながらも曲線を上手に使うことで、奥行き感を感じさせる。右手のタマリュウの野筋には黒松を植樹し、先端には岬灯籠を配置している。
白砂敷きとタマリュウの間には大きめの玉石を敷いた洲浜(すはま)になっている。
現代風にアレンジされており、推測するに2008年からの修復保存工事に新たに補修されたのはないかと推測する。
こちらの枯山水も、先ほどの枯山水と類似点がある同時期に作庭されたものだろう。
入口から一番近い枯山水。明らかに先ほどの枯山水とは異なり、こちらは平成8年に整備されたままのものではないだろうか。中島は亀島に見えなくはないが、やや乱暴な推測だろう。庭園メインで訪れると物足りなさを感じるが、川越で駐車場完備で、お庭を眺めながらのんびり寛げる貴重なスポットといえよう。
○ | 中庭の枯山水は限られた空間を活かした美しいものであった。 |
× | 主庭となる家老詰所前の庭園は、物足らなさを感じてしまう。 |